▼2010 年 3 月 のアーカイブ

10.03.02

クィーンは誰か?

カルガリーオリンピックの時の、伊藤みどりが忘れられない。
年上の友人が、ことあるごとにそう語っていた。
あの時のジャンプの高さ、スピードはものすごかったという。

 

その大会での彼女の最終順位は5位。
いつまでも心に残る感動や衝撃を与える演技というのは、メダルの色や順位とはまったく無関係なのである。

 

フィギュア女子フリー。
鈴木さんや未来ちゃんもすごく良かったけれど、私の心が揺さぶられたのは、やはり浅田真央選手の演技だった。
新境地に挑むべく、敢えて選んだ重厚な「鐘」。
重苦しく粘り着くような曲調の中、可憐な顔をゆがめ表現する怒りや苦悩。
パワフルかつしなやかに舞い、激しく複雑なステップを踏む。
敢えて険しい道を行き、抗い戦う彼女自身と重なるようにも見え、荘厳なオーラを放つ真央ちゃんの「鐘」にいつしか私は引き込まれていた。
ジャンプだけじゃない。
これまで誰もなしえなかった技術と芸術(表現力)の両立に挑んだ。
世界中で、彼女にしかこなせないプログラムだ。

 

キム・ヨナ選手は、確かにノーミスのきれいな演技だった。
難易度を抑え、高い完成度を目指す彼女のプログラム構成は現在の採点システムにはまっているし、金メダルに異論は無い。
だけどいくら真央ちゃんにミスがあったとはいえ、20点以上もの大差がついたということについては、どう考えても疑問が残る。ものすごくあいまいな基準で大幅加点が可能な採点システムに対する疑問だ。

 

それにしても真央ちゃんはえらい。

自分のベストパフォーマンスができなかったことが、何より悔しかったのだろう。それでも涙をこらえ、必死で笑顔を作ろうとしていた。

彼女にとって、この数年間は試練の連続だった。
彼女に不利になるよう毎年改正されるルール。
だけどそれがどんなものであっても、努力と才能でもって、必ずそれをクリアする実力を身につけてきたのだ。
真央ちゃんは言い訳をしない。

ジャッジ批判をしないし、練習妨害されたとも言わない。
ただ真摯に、自分に挑戦し続ける。
これぞサムライスピリット。一流のアスリート魂。
何でも加点されるなら、人格加点してほしいくらいだ。

 

現在の採点システムは上を目指す者、限界に挑戦したい者にとっては激しい向かい風だ。
だけど真央ちゃんは、これからも挑戦することをやめないだろう。
もともと才能のある子が、死にものぐるいの努力を続けていくとどういうことになるのか、4年後、さらに進化した浅田真央を見せてほしい。

 

急成長中の長洲未来ちゃんなどを見ていると、この先キム・ヨナ選手と同じくらい上手い選手はでてくるだろうなと思う。
だけど、真央ちゃん2世は難しいだろう。

 

Queen of Triple Axel!
女子フィギュア史上初のトリプルアクセル2回成功。
ショート・フリー合わせて3回成功という快挙!
そしてジャンプ以外の要素も素晴らしかった。
世界中で誰にもできないことを真央ちゃんはやったのです。
真央ちゃんのメダル、あれ銀じゃなくてプラチナだと思う。

 

色々な意味で、歴史と記憶に残るオリンピックとなることでしょう。
若干19歳の浅田真央選手が、どれほどすごいことをやってのけたのか、どれほど圧倒的な力を持っていたか、日本のマスコミが言わないなら私が言う!後世に語り継ぐ!p(・∩・)q
そんな決意をせずにはいられないほど、浅田選手の挑戦、戦いには胸を打たれた。

 

また、演技とは別なところで印象に残ったのは・・・、問題提起をしてくれたプルシェンコ。

色々意見はあると思いますが、私は俄然ファンになりました。
今頃はきっとぞんざいに扱われているだろう銀メダルのことが偲ばれます(^▽^;)。

 

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ところでNHK様。
ブライアン・ジュベールが出ていたNHKスペシャル(4回転ジャンプの秘密を科学的に探るという内容らしい)の再々放送はまだでしょうか?

 

今大会では振るわなかったものの、彼はこれまでずっと4回転を跳び続け、成功させ続けてきた。それがどれほど凄いことか!フィギュアはオリンピックくらいでしか見ないという人にも、本来の彼の姿を知ってほしいと願うのです。

 

ジャンプだけがすべてじゃない。それはよく分かります。

でもNHKさんも書かれているこの言葉
心技体すべてを最高レベルに到達させたものだけが実現できる4回転ジャンプ」
これこそオリンピックの精神!という気がするのは私だけではないはず。