▼2010 年 1 月 のアーカイブ

10.01.28

手は口ほどにものを言う

カメラの前でおじきをする後藤真希さん。
気丈に見えながらも、強く何度も握りしめていた手がとても印象的でした。
彼女が入った当時(たぶん全盛期)のモーニング娘。が結構好きで、実はコンサートにも行ったことがあります。
弱さを見せない人のようですが「何もできないかもしれないけど側にいたい」、「少しでも支えになりたい」という仲間達の気持ちはきっと伝わっていると思います。

 

そして彼女の姿を見ていて、思い出した小説があります。
芥川龍之介の短編「手巾(ハンケチ)」です。

 

夫だか息子だかの死を、顔色ひとつ変えず淡々と話す上流階級婦人の話で、薄情なようにすら見えた彼女が実は、テーブルの下でハンカチを握りしめ、必死で悲しみをこらえていたという、おぼろげな記憶ではそんなお話でした。

 

ただ随分昔に読んだものなので、念のために(?)ざざっと読み返してみたところ、どうもそう単純な話ではなかったようで、すっかり印象が変わってしまいました。

 

微笑を浮かべながらも手を震わせ、実は全身で泣いていたというご婦人に主人公が感銘を受けるところまではその通りなのですが、その後です。
何気なく目を落とした本のその頁に書かれていた手巾にまつわる話。それを読んだ後、主人公の晴れ晴れとした心持ちに変化がおきるのです。
(以下、本文より抜粋)

 

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先生は、別に読む気もなく、漫然と眼を頁の上に落した。ストリントベルクは云ふ。――
――私の若い時分、人はハイベルク夫人の、多分巴里から出たものらしい、手巾のことを話した。それは、顔は微笑してゐながら、手は手巾を二つに裂くと云ふ、二重の演技であつた、それを我等は今、臭味と名づける。……
 先生は、本を膝の上に置いた。開いたまま置いたので、西山篤子と云ふ名刺が、まだ頁のまん中にのつてゐる。が、先生の心にあるものは、もうあの婦人ではない。(中略)それらの平穏な調和を破らうとする、得体の知れない何物かである。ストリントベルクの指弾した演出法と、実践道徳上の問題とは、勿論ちがふ。が、今、読んだ所からうけとつた暗示の中には、先生の、湯上りののんびりした心もちを擾(みだ)さうとする何物かがある。武士道と、さうしてその型(マニイル)と――
 先生は、不快さうに二三度頭を振つて、それから又上眼を使ひながら、ぢつと、秋草を描いた岐阜提灯の明い灯を眺め始めた。……

 

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主人公の先生と共に、読者の方も「ううむ・・・」って感じになりますよね。
気丈に振る舞うご婦人に日本の女武士道を見た気がした。
しかしその後偶然目にした本の中の文章に水を差される。
ストリントベルクが非難する「二重の演技」というものに、婦人の姿が重なってしまったのだ。
武士道に見えた婦人の振るまいそのものを否定しているようでもあり、それに踊らされていた主人公を笑うようでもあり、あるいは本来無関係なものを関連づけ、意味を持たせてはその妄想に簡単に翻弄されてしまう人間の姿を描いているようでもある。

 

幾度もの鑑賞に堪え、読むたびに印象が変わったり、新たな気づきがある。
名作といわれ、時を経ても残っているものには、やはりそれだけの理由があるということですね。

 

『芥川龍之介全集〈1〉』(ちくま文庫)
「手巾」の他「羅生門」、「鼻」、「芋粥」などを収録。

10.01.21

赤い車と白クマをめぐる考察

昨年から流れているCMで、すごくお気に入りのものがあります。
赤い車と、それはもう愛くるしい2匹の小熊(白クマ)が出てくる・・・

そう、あのPOLOのCMです。
初めて目にしたときから、の鮮やかなコントラストと、白クマたんのえも言われぬ可愛らしさにすっかり心を奪われてしまいました。

あのフワフワ感とムクムク感、そしてあの動き、すごくよくできていると思います。

 

そして小熊萌えの興奮を分かち合おうと、同じくクマ好きの友人に同意を求めたところ、

 

  あ~、かわいいよね~。

  でも、車に乗ってる人間としては、クマたん立ってのぞき込む・・・のシーンで
  「んきゃー、爪がー、新車にキズいっちゃうよ~!」
  って、ちょっぴりハラハラする(笑)

 

 

との答えが返ってきました。
それは地方在住ながら車に乗らないエコでマイノリティな私には全く無かった発想で、何だかとても新鮮でした。

「あ、そっか~、なるほどな~」とすごく得心しました。

 

視点が変われば感じ方も変わる。
車を運転しない私の心は一瞬で鷲掴みにした優秀CMですが、ターゲットであるはずの現役ドライバーには果たしてうまく訴求できているんだろうかとちょっぴり心配になった冬の日でした。

 
余談ですが、熊って「1頭、2頭・・・」だっけ?それとも「1匹、2匹・・・」という迷いが生じ、ネット検索してみたところ・・・、どうやら「頭」と「匹」の使い分けに明確な線引きはない模様。

 

ただ、次のような記述が見つかりました。
   両腕で抱きかかえることのできる動物を「匹」
       抱きかかえられない動物を「頭」
だそうです。そうだったのか・・・。

 

熊は通常1頭、2頭…だと思いますが、小熊だと1匹、2匹でいいのでしょうか?
もしも間違っていましたら、やんわりとご指摘ください。

 
あの子を数えたいけど匹なのか頭なのか、はたまた羽、尾、杯・・・?
考えだすと夜も眠れないよ~。そんな悩めるあなた(とか私)にお薦めの本がありました。
日本には数多くある助数詞ですが、その由来も分かるとおもしろいですよね。
日本語の持つ繊細さを再認識できる一冊。

 
『数え方の辞典』

10.01.21

新年のご挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。

 

って、遅っ(;^_^A
相変わらずバタバタと過労死レベルに(?)忙しい日々が続いており、すっかりご無沙汰してしまいました。申し訳ないことでございます。<(_ _)>
年末のご挨拶もできないまま年が明け、松の内も過ぎ、時の流れは速いものですね・・・(遠い目)。

 

そういえば、昨年の年明けにご紹介した「年明けうどん」、今年は日清の「どん兵衛 年明けうどん」が出てましたね。すごい!早くも全国区で定着?
会社でも夜食で(昼食だったかも)食べている人がいました。私も試しに買ってみようと思っていたんですが、売り切れで買いそびれちゃいました。美味しかったですか~?

 

書き出すとついついダラダラと長文になってしまうのが私の悪いクセなのですが、まめな更新のためにはできるだけ短く、軽めな内容にしていこうと思います。(去年もそんなようなことを書いた気が・・・・。デジャヴ?)
これからもできるだけ更新を続けていきますので、本年も「ふくろう出版」をどうぞよろしくお願い申し上げます。