▼‘本’ カテゴリーのアーカイブ

10.12.14

「ギョギョーム」の魔力

クリスマスが近くなるこの時期、街は華やぎ、期間限定のきれいなもの、かわいいもの、美味しそうなものも目白押しですね♪

 

そして美味しそうで、小洒落た名前のケーキを見るたびに、私の脳裏にはある言葉が浮かびます。
それは「ギョギョーム」。

 

昔すごくはまっていた漫画「シニカル・ヒステリー・アワー」に出てくるケーキの名前なのですが、元々は違う名前だったんですよね。
何ていう名前だったかなぁ、と気になり検索してみると、すぐに答えは見つかりました。
ネットって便利♪
以下、あらすじです。

 

***************************

 

とある町のケーキ屋さん。オーナーの娘が、新作のケーキに「モン・ビジュー」(フランス語で「私の宝石」という意味)というお洒落な名前をつけました。

 
お使いを頼まれた主人公のツネコ(小学生)が、新製品として勧められたそのケーキを購入。
家に帰り、友人ら数人とケーキを食べるのですが、モン・ビジューは皆に好評で
「何て名前のケーキ?」と聞かれる。

ツネコは

「ジュとかギュとかいうカンジの、なんかぐにょぐにょした名前だった。ギョギョームとかなんとか・・・」と答える。
「ギョギョーム?」と聞き返されるも、
「ちょっと違うような気もするけど、だいたい、そんなカンジ。」と返答。

 

そして後日、ツネコの友人らが次々にそのケーキ屋を訪れる。

「ギョギョームください。」
「はっ?ギョギョームですか?」
「昨日、お友達が買って行ったんだけど、新製品の‥・」
「あ、これのことかしら?」

 

親子で訪れた別の子も、
「シュークリームとエクレアとそれから‥・、なんでしたっけ?‥ギョ、ギョ‥」
「ギョギョームよ、おかあさま。」
「そう。ギョギョームというのを2つくださる?」

 

ケーキ屋の娘が母親に「新製品は売れてる?」と尋ねる。
「ええ、朝から集中的に。でも、みんな、ギョギョームって言って買っていくのよね。」
「ギョギョーム?!なんなの、その、けったいな名前は!!
私がつけたのは、パリのエスプリあふれるモン・ビジューよ!」
憤る娘に、父親であるオーナーは
「わしは構わんよ。モン・ビジューでもギョギョームでも。
お客がギョギョームっていうんなら、ギョギョームにすればいい。」

 

その後、ギョギョームは町のケーキ屋さんの人気商品になっていきました。
名札には「ギョギョーム」と書いてあり、その下に小さく「正式名モン・ビジュー」と・・・。

 

***************************

 

ギョギョームは笑ったなぁ。ギョギョームって何だ、ギョギョームって・・・。
だけど、それだけ強く心に残っているということは、秀逸なネーミングだったってことですよねぇ。
元の名前やケーキの形状は忘れていても「ギョギョーム」という名前だけは強烈なインパクトでもって、トラウマ的に私の脳みそに刻み込まれていました。
そして、そんな「ギョギョーム」の魔力にとりつかれていたのは私だけではなかったようで、ネット検索してみると、こんな記述がいくつも見つかりました。

 

「私の中で、苺のタルトみたいなのは未だにギョギョームだわ」とか、
(↑どんなケーキだったかまで覚えている人尊敬!)
「名前が覚えられないものは、とりあえずギョギョームで片付けている」
なんて、オールジャンルに適用させているツワモノも。
恐るべし、ギョギョーム。

 

「シニカル・ヒステリー・アワー」

「ギョギョーム」の話が何巻に収録されていたかは未確認です。ごめんなさいm(_ _)m

10.12.13

恐竜と瀬戸内アート

師走です。
またまたご無沙汰してしまいました。
時間経ちすぎですが、失われた4ヶ月間にあったメインイベント2つについて、少し書いてみようと思います。

 

前回、岡山で開かれた恐竜展のことを書きましたが、実はその後東京の恐竜展にも行ってきました。

 

「地球最古の恐竜展」
会場:六本木ヒルズ森タワー 森アーツセンターギャラリー
期間:2010年7月10日~9月26日

 

一番の目当ては、東京タワーなどキラキラの夜景をバックに恐竜(骨格標本)を眺められるという素敵コーナー

だけど実は、お写真スポットを間違えていて、目的の夜景バック恐竜写真は撮ることができなかったのです。すごいキレイだったのに・・・_||

何となくの雰囲気だけでもお伝えできるでしょうか・・・?

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「恐竜BAR」

恐竜と夜景を見ながら、お酒を飲むことができるスポット。

グラスの上に乗っている黒い球体はぶどう(だったと思う)。

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CG映像も豊富、照明も凝っていて、お金かかってそうな感じでした。

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食べられてます。キャー!!

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NHKで放送されていた関連番組で見られた方も多いと思いますが、

哺乳類のご先祖様って、つくづく残念な感じですよねぇ。

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アップでどうぞ。

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エンターテイメントとしては面白い!

でも林原さんみたいに説明してくれる人とかはいなかったので、知的好奇心をくすぐってくれる度は、岡山の恐竜ラボに軍配を上げたいと思います。

 

「NHKスペシャル 恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」DVD-BOX

  
「NHKスペシャル 恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」ブルーレイBOX

 

 

「恐竜大研究」DVD

 

 

 

 

秋には、瀬戸内国際芸術祭に行ってきました。
近いので、日帰りで何回か行こうと思っていたのですが、暑すぎて気力がわかなかったり、友人と予定が合わなかったりで、結局1日のみ、男木島、女木島の2島をめぐりました。
アート自体は正直「??」なものもありましたが、島はすごく良かった!特に男木島。

島自体の雰囲気が素敵なんです。また行きたい!

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細い路地の坂道が多く、尾道にもちょっと雰囲気が似ているかも。

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眺めていると、住民らしき人が窓から顔をのぞかせ「○時になったらここから水が流れるのよ」などと教えてくださる。和む(。◕∀◕。)
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民家の庭先にこういうの↓があったりするんですが、アート作品なのか住民の趣味のものなのか、ちょっと迷う・・・。

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かぼちゃアート??

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女木島(鬼ヶ島)の洞窟も面白かった。

だけど、桃太郎伝説発祥の地と主張している岡山県人としては、女木のそれを認めてよいものかどうか(女木島は香川県)、ちょっと複雑(^^;

 

こんな鬼が出迎えてくれる。

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いざ、洞窟へ。

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会議中の鬼たち。全然怖くないんですけど。

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あっ、娘っ子が囚われている。これは怖いかも。

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洞窟内のアート

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壁面に映るシルエットがきれい!

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あれ?和解?

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にこやかな鬼に見送られ、洞窟の外へ。

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そこは絶景!

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港には帆船ピアノ

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そしてモアイ・・・。

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カモメたち

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概ね楽しい島旅だったのですが、残念だったのが交通の便。

期間中だけでももっとフェリー増やしてほしかった。JRも。

直島に渡るには宇野港(岡山県)からが近いのですが、宇野線(岡山-宇野)、本数少なすぎ。フェリーとの連絡も悪すぎ。駅前何もなさすぎ。せっかく県外からも人いっぱい来てるのにもったいない。
今回の芸術祭は来場93万人。予想は30万人だったそうですから、想定外のことに対応しきれなかったのかもしれませんが・・・。
それにしても惜しい。
地図とかHPももっとわかりやすくできただろうし、何か色々と惜しい。

 

だけど一番惜しかったのはこの私。
公式ガイドブックを購入し、ネットでも情報収集。おやつを買い、JR、フェリーの乗り換え時間、移動コースなど、事前に計画を練りに練り(というほどでもないが)、途中まではすごく順調に進んでいました。が、最後の最後にワナが・・・。

 

予定では、島を発って夜7時前には高松に着き、何か美味しいものでも食べているはずでした。10~11時には余裕で岡山に帰れていたはず。
がしかし、7時過ぎに私たちが食べていたのはカップラーメン。

何も無い、女木島のフェリー乗り場(待合室)で。
間違えたんです。
ちっちゃく書かれた「夏期臨時便」という文字を見逃していた。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。
次の(最終)フェリーまで3時間以上、日の暮れた女木島で過ごすことに・・・。
ごめんよーーー。友人Y。

 

島の夜は早い。祭期間中だろうが、構わず早い。
待合室の食堂は既に閉店。持参していたパンやお菓子も完食しており、何か食べ物をと、とっぷりと日の暮れた島内を回ってみましたが、18時過ぎ、食事のできるところは無し。
そしてそんなフェリー難民を受け入れてくれるのは、そう、待合室だけ。
何も無いなんて言ってごめんなさい。明かりがあり、雨風しのげるだけで御の字です。
待合室で売られていた唯一の食料、それがカップラーメンでした。
侘しさと切なさと心強さと、様々に交錯する思いですすったあの時のカップラーメンを、私は生涯忘れないだろう・・・。

 

それにしても2,3種類あったカップラーメン、すべてが「味噌味」だったのは何でか?

 

美術手帖6月号増刊 「瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック 」


10.07.30

「恐竜ラボ」がおもしろい

先日、岡山市デジタルミュージアムで開催中の企画展
『ようこそ恐竜ラボヘ!~化石の謎をときあかす~』に行って来ました。

 

モンゴル科学アカデミーと長年恐竜共同調査を行っている、岡山の林原自然科学博物館(昨年「カンブリア宮殿」にもとりあげられていた林原グループです)が主催。
国内だけでなく海外にも巡回していた本展ですが、今回は地元開催ということで、これまで輸送の問題から展示できなかった実物標本や、世界で林原自然科学博物館が唯一保有する珍しい標本を展示するなど、スペシャルバージョンとなっているようです。
恐竜にさほど思い入れがあったわけではない私ですが、すごく楽しめました。おもしろかった!

 

何と、一部を除き写真撮影OK! (*゜ロ゜)ノ太っ腹です!(そうと知っていればデジカメを・・・。)
いくつかご紹介しますと・・・

(写真のブログ掲載に関してもOKをいただきました)

 

トリケラトプスの頭部。実物です。

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上にもいた!ズンガリプテルス。

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「どっひゃー!」みたいなポーズが若干お茶目かもしれないデイノニクス(復元)。

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「トカゲ飼いたいのよ。でもさ、エサが虫なのよ!」が口癖(?)の友人Y(←昆虫が苦手)は
「かわいぃ~♪」といたく気に入った様子でした。

 

そして今回の展示は、恐竜の化石そのものだけでなく、その発掘から輸送、クリーニング、復元にいたるプロセスに焦点をあてた構成となっていました。

 

実物大の発掘現場写真

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こっちが頭だからぁ、たぶんここがこういう風に・・・
友人とああだこうだ言いながら見ていると、林原の研究員の方が色々と説明をしてくださいました。

 

発掘の際、化石の周りの岩石ごと掘り出すわけですが、大きなものだと1トンを超えるものもあるそうです。
数人がかりで掘り出し、切り出し、車に乗せ・・・。
発掘調査ってすごいガテン系なお仕事なんだなーって思いました。大変です!

 

テントや食料品も展示されていました。

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実際に持ち帰った化石。木箱や麻布にくるまれています。

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木箱を開けると・・・。
周りの岩石ごと石膏でかためられている状態。

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ここから化石をきれいに取り出すわけですが、これ、緊張しますよねぇ。
細かい部分もあるし、もろくなってたりもするだろうし。
と思って、研究員さんに聞いてみました。

 

「つい手が滑って『あぁぁーーー』 ( ̄□ ̄;)!!ってなることはないんですか?」
「ありますよぉ」(^^) とあっさり。

  (書いてしまっていいのか?(^▽^;))

 

     うっかりが あってもいいじゃないか
         にんげんだもの

            (みつを?)

 

発掘、クリーニングされたサウロロフス。
大きすぎて全身は入らなかった(;;)

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 まだクリーニング途中。

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すべて完成させるには、あと5年くらいかかるそうです。(ここまでで約15年)
気の長い話ですよねぇ。

 

 

そして王者T.rex(ティラノサウルス)

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迫力に圧倒され、手ブレしてます(^▽^;)

 

右太ももの実物化石

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何とこれ、おさわりOKです♪( ‘∇^*)^☆うふっ♪

 

 

他には、皮膚の化石もありました。
肌の質感は分かるけれども、色までは分からないとのこと。
人間以外のほ乳類は色覚が弱いため、体の色が地味である。
恐竜は鳥類に近い部分があるので、発達した色覚を持っていた可能性があるそうです。
そう言われると、皮膚の化石にみる恐竜のお肌は、オーストリッチっぽい感じもありました。
雄鳥が美しい羽を広げ雌鳥にアピールするように、色覚があれば、色に意味が出てくる。
恐竜といえば茶系(またはグレー?)のイメージでしたが、もしかするとものすごくカラフルで、派手な模様をまとったものもいたかもしれない。
そんなことを想像してみるだけで、何だかすごくワクワクします♪((o(゚▽゚○)(○゚▽゚)o))♪

 

今後さらに研究が進めば、新発見、新事実もどんどん出てくるんでしょうね。
生物の進化だとか、地球の長い歴史にはせる思いだとか、古生物学ってロマンの宝庫ですね♪

 

(時代と共に)復元は変わる

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そして今回、実際に発掘現場にも行かれていたという林原研究員の方々が行く先々で説明をしてくださったので、とても分かりやすかったし、現場の方の生の声というのが、ものすごく興味深かったです。
皆さんとてもいきいきと、うれしそうにお話してくださったのも印象的でした。
きっと愛してらっしゃるんだろうな、好きなことを仕事にできるって素晴らしいことよね、と思いました。

 

1時間くらいで回れちゃうかなと思っていたのに、滞在時間は予想を大きく上回る2時間半!

たっぷり堪能しちゃいましたr(^ω^*)。また行きたい!

 

特別展『ようこそ恐竜ラボヘ!~化石の謎をときあかす~』
     期間:2010年7月10日(土)~2010年8月18日(水)

 岡山市デジタルミュージアム
http://www.city.okayama.jp/okayama-city-museum/

 

『恐竜研究所へようこそ』

10.03.02

クィーンは誰か?

カルガリーオリンピックの時の、伊藤みどりが忘れられない。
年上の友人が、ことあるごとにそう語っていた。
あの時のジャンプの高さ、スピードはものすごかったという。

 

その大会での彼女の最終順位は5位。
いつまでも心に残る感動や衝撃を与える演技というのは、メダルの色や順位とはまったく無関係なのである。

 

フィギュア女子フリー。
鈴木さんや未来ちゃんもすごく良かったけれど、私の心が揺さぶられたのは、やはり浅田真央選手の演技だった。
新境地に挑むべく、敢えて選んだ重厚な「鐘」。
重苦しく粘り着くような曲調の中、可憐な顔をゆがめ表現する怒りや苦悩。
パワフルかつしなやかに舞い、激しく複雑なステップを踏む。
敢えて険しい道を行き、抗い戦う彼女自身と重なるようにも見え、荘厳なオーラを放つ真央ちゃんの「鐘」にいつしか私は引き込まれていた。
ジャンプだけじゃない。
これまで誰もなしえなかった技術と芸術(表現力)の両立に挑んだ。
世界中で、彼女にしかこなせないプログラムだ。

 

キム・ヨナ選手は、確かにノーミスのきれいな演技だった。
難易度を抑え、高い完成度を目指す彼女のプログラム構成は現在の採点システムにはまっているし、金メダルに異論は無い。
だけどいくら真央ちゃんにミスがあったとはいえ、20点以上もの大差がついたということについては、どう考えても疑問が残る。ものすごくあいまいな基準で大幅加点が可能な採点システムに対する疑問だ。

 

それにしても真央ちゃんはえらい。

自分のベストパフォーマンスができなかったことが、何より悔しかったのだろう。それでも涙をこらえ、必死で笑顔を作ろうとしていた。

彼女にとって、この数年間は試練の連続だった。
彼女に不利になるよう毎年改正されるルール。
だけどそれがどんなものであっても、努力と才能でもって、必ずそれをクリアする実力を身につけてきたのだ。
真央ちゃんは言い訳をしない。

ジャッジ批判をしないし、練習妨害されたとも言わない。
ただ真摯に、自分に挑戦し続ける。
これぞサムライスピリット。一流のアスリート魂。
何でも加点されるなら、人格加点してほしいくらいだ。

 

現在の採点システムは上を目指す者、限界に挑戦したい者にとっては激しい向かい風だ。
だけど真央ちゃんは、これからも挑戦することをやめないだろう。
もともと才能のある子が、死にものぐるいの努力を続けていくとどういうことになるのか、4年後、さらに進化した浅田真央を見せてほしい。

 

急成長中の長洲未来ちゃんなどを見ていると、この先キム・ヨナ選手と同じくらい上手い選手はでてくるだろうなと思う。
だけど、真央ちゃん2世は難しいだろう。

 

Queen of Triple Axel!
女子フィギュア史上初のトリプルアクセル2回成功。
ショート・フリー合わせて3回成功という快挙!
そしてジャンプ以外の要素も素晴らしかった。
世界中で誰にもできないことを真央ちゃんはやったのです。
真央ちゃんのメダル、あれ銀じゃなくてプラチナだと思う。

 

色々な意味で、歴史と記憶に残るオリンピックとなることでしょう。
若干19歳の浅田真央選手が、どれほどすごいことをやってのけたのか、どれほど圧倒的な力を持っていたか、日本のマスコミが言わないなら私が言う!後世に語り継ぐ!p(・∩・)q
そんな決意をせずにはいられないほど、浅田選手の挑戦、戦いには胸を打たれた。

 

また、演技とは別なところで印象に残ったのは・・・、問題提起をしてくれたプルシェンコ。

色々意見はあると思いますが、私は俄然ファンになりました。
今頃はきっとぞんざいに扱われているだろう銀メダルのことが偲ばれます(^▽^;)。

 

現在、予約受付中。
『バンクーバー五輪フィギュアスケート』

 

 

 

 

ところでNHK様。
ブライアン・ジュベールが出ていたNHKスペシャル(4回転ジャンプの秘密を科学的に探るという内容らしい)の再々放送はまだでしょうか?

 

今大会では振るわなかったものの、彼はこれまでずっと4回転を跳び続け、成功させ続けてきた。それがどれほど凄いことか!フィギュアはオリンピックくらいでしか見ないという人にも、本来の彼の姿を知ってほしいと願うのです。

 

ジャンプだけがすべてじゃない。それはよく分かります。

でもNHKさんも書かれているこの言葉
心技体すべてを最高レベルに到達させたものだけが実現できる4回転ジャンプ」
これこそオリンピックの精神!という気がするのは私だけではないはず。

10.02.25

祝!女子SP初のトリプルアクセル!

ついに始まりました。フィギュアスケート女子シングル。
昨日も帰宅後すぐに見ましたよ~。

 

日本でも人気の長洲未来ちゃん。上手くなりましたね~。
だけどなぜか鼻が赤くなっていてビックリ。
鼻血だったんですね。。。
私もよく鼻血を出す少女だったので(腕立て伏せをしていたら急に血がポタリ・・・とか、顔を洗っていたら水が赤く染まってきた・・・とか)、可哀想なんだけどちょっと親近感(^▽^;)

 

鈴木さんもミキティもそれぞれ惜しいところはありましたが、良かったと思います。
鈴木さんのステップには魅せられました☆
ミキティも十分メダル射程圏内だと思いますし、明日のフリーでは自分の力を出し切れるよう頑張ってほしいです。

 

ジョアニー・ロシェットさん。好きな選手の一人なので気になっていたのですが・・・、

良かったです。もともとキレイな人ですが、凛とした雰囲気がいつも以上に美しかった。

彼女の精神力の強さに敬意を表します。

 

そして真央ちゃんです。始まる前からもうハラハラドキドキ・・・。
だけど鍵となる最初のトリプルアクセルもきれいに決まり、パーフェクトな演技!
思わず飛び跳ねてしまっていた真央ちゃんが可愛かった♪
真央ちゃんの満面の笑みが久しぶりに見られ、それが何よりもうれしかったです。

 

対するキム・ヨナ選手。
ん~、やっぱり上手いですね。
特に今シーズンの「007」は観客を盛り上げやすいし、彼女にすごく似合っている。
そしてあれだけ会場を沸かせた真央ちゃんの直後、臆せず自分の演技ができてしまうという精神力、その度胸はさすがです。

 

だけど二人ともノーミスのパーフェクな演技。
5点もの差というのが素人目にはよく分かりません。
色気の差かと思いきや、技術点で結構差が出ていた様子。

 

キム・ヨナ選手が飛ぶトリプル+トリプルは、ジュニアの選手でもできる子はできる。(完成度は別として)
同じ「トリプル」とつくからアクセルも他のトリプルジャンプと同程度と思う人もいると思いますが実際は「3回転半」だし、踏切の仕方が他とは違って、これまで女子で飛べたのは、世界で確か4人だけ。
4回転が飛べるのにトリプルアクセルだけは鬼門という男子選手もいるくらい難易度の高いジャンプなんです。

ショートプログラムで成功させた女子は今回の真央ちゃんが初めて!
しかもコンビネーションです。
それほどの偉業、もっと評価されてもいいと思うんですが・・・。

 

だけど、そんなことは真央ちゃん陣営は十分承知の上なんですよね。
難易度よりも表現力や完成度で確実に点を積み重ねていく戦略的プログラムにするか、常に技術的向上を目指し、己の限界に挑戦することを選ぶか。

 

真央ちゃんは謙虚だからあまり大仰なことは言わないけれど、現状維持では満足しない、挑戦し続けるということが彼女のプライドで、その象徴がトリプルアクセルなんだと思います。
かっこいいぞ、真央ちゃん!

 

ここまできたらもう、点数とかメダルとか考えずに(といっても無理だろうけど)、ただ自分の信じた道を、思い切って滑りきってほしい。

 

怖い顔するのよ、真央ちゃん!もっと怖い顔を!!

 

『浅田真央 奇跡(ミラクル)の軌跡』

 

 

 

番外編 -思いがけない幸運-
途中、客席で応援している日本男子トリオの姿が映されていましたが、小塚君のちょうど斜め前にとてつもない美青年が座っているじゃないですかと思ったら、やっぱりステファンでした

やけにローテンションなのが気がかりでしたが、私服姿もかっこい~(ё_ё)
何度も巻き戻して見ちゃいました。
最初は一人ポツンと座っていて、高橋君話しかけてあげればいいのにとか思っていたんですが、次に映った時には同じスイスのサラ・マイアー始め美女軍団に取り囲まれていました。
さすがステファン( ‘∇^*)^☆♪ 心配は無用だったわ♪

10.02.22

高橋、ステファン、そしてジョニ子

高橋大輔が歩いてきた道。目指してきたもの。
4回転論争について、それぞれ考え方はあると思いますが、彼の考えは

「飛んでこそ男子」
もし安全策に出て別の色のメダルがとれていたとしても、自分自身納得できなかったはず。

悔いが残ったはず。
リスクは覚悟の上で4回転に挑戦し、手にした銅メダル!
本当に誇らしいよ!
ショート、フリー通して、自慢のステップはもちろん、ジャンプでも表現力でも、今回一番会場を沸かせ、魅了していたのは彼だったのではないかと思う。
本当によかった!
おめでとう、高橋大輔選手!

 

「高橋大輔」DVDを見たり、『be SOUL』を読んだ後で再度今回のプログラムを見てみると、さらに感慨が深くなりますよ。


 
そして映画「道」を見て再度フリープログラムを見るとまた深みが・・・。

 

 

日本人選手3人揃って入賞っていうのもすごいことですよね。
織田君はアクシデントにもめげず、よく頑張った。
自分を責めなくていい。胸を張って帰ってくるのだ!

 

小塚君もすごく良かった。
あの大舞台で4回転を成功させたことは大きな自信にもつながっただろうし、まだまだ成長途上の彼のこと、これからの発展を大いに期待させてくれる内容だった。

 

プルシェンコの復帰について、アナウンサーだったか解説者だったかが
「男子フィギュアの未来のために、4回転を飛ぶために彼は帰ってきました」
というようなことを言っていて、それがものすごくグッときました。

 

 

そして同じく復帰組のステファン・ランビエールは4位。
本調子ではない中、それでも4回転のコンビネーションジャンプを意地で成功させたところに、アーティストなだけでない、アスリートとしての気概を感じた。
だけどやっぱり、彼にとってはまったく不本意な出来だったと思います。見てる方も不完全燃焼な感じ・・・。
あの頃のステファン(シマウマだった頃やフラメンコの頃や「You’re so beautiful」って言ってくれてた頃)にもう一度会いたくて、保存版DVDを引っ張り出し、何度もリピして見ていました。
優雅でセクシーでドラマティック、叙情的な素晴らしい演技。
ずっと見ていたい、一生滑っていてほしいと切実に思わせる本当に希有なスケーターだと思います。
エキシビションでは彼らしいアーティステックなパフォーマンスで、再び私たちを魅了してくれることを期待しています!

 

 

そしてプリンセスジョニー・ウィアー。
ジャンプ、スピン、ステップ、指先から足先、表情まで全てが完璧に美しかった。
彼にしかできない、彼の世界観を見事に表現したプログラムだったと思う。
そしてキスアンドクライで見せるのは乙女の笑顔♪
薔薇の冠が似合いすぎです(≧∇≦)
しかもコーチが外そうとしたのを「あ、ううん。これは被っとくの」みたいな感じでうれしそうに被り直していた姿がツボ。
だけどそれにしても得点低すぎませんか?と思ったのは私も同じ。
でもブーイングをなだめるような彼の所作には、かわいらしさ以上の何かを感じた。
これでまた、ジョニ子ファンが激増したことでしょう。
かくいう私も、今さらながら彼の類い希なる魅力に覚醒し、DVD『氷上のポップスター』をポチり、寝る間も惜しんで彼の動画や記事を探し回る今日この頃です。
やばいです。ジョニ子萌えが止まりません。

 

ドキュメンタリーDVD『ジョニー・ウィアー 氷上のポップスター』

 

 

 

 

男子シングルが終わり、何だか既に、宴の後的寂しさに襲われています。
でも明日はアイスダンスフリーがあるし、女子シングルも残っている。
今度は真央ちゃんの応援だー!オー!

 

 

前回のブログで「俺たちフィギュアスケーター」という映画をご紹介しましたが、あの中の男子ペアと同じ演技を、実は過去に小塚君がしていたということを知りました( ̄m ̄〃)
お相手はアイスダンスの選手。
そしてこの映画の主人公の一人はジョニーがモデルとなっているそうです。納得!
男子ペア部門、本気で正式種目にしてほしい。

一番見てみたいのは、やっぱり大好きなステファン&ジョニ子ペア!

 

『俺たちフィギュアスケーター』

10.02.18

高橋ガンバレ!p(・∩・)q

ついに始まりましたね。フィギュアスケート男子シングル。
もぉ~、興奮しました♪
昼休みにもワンセグで少し見ていたのですが、帰宅後すぐに、逸る気持ちを抑えながら、じっくりと録画を堪能しました。

 

高橋君はほんっとに上手くなりましたよね~。
大けがで一時は本当に苦しかったようですが、怪我の功名というか、復帰後の彼はスケーティング技術だけでなく精神的にも一回り二回り大きくなったような気がします。
そしてその自信が表にも現れ、すごくいい顔になっている。
かっこよくなった。
昨日の演技も本当に良かった。
自信にあふれ、乗りに乗っていた。すばらしい表現力!

 

「高橋大輔」 [DVD]
2年間の密着ドキュメンタリー

フォトエッセイ『be SOUL 』

 

 

織田君も小塚君も良かった。
だけど織田君はちょっと表情が硬かった。緊張はするでしょうが、フリーではもっと自信満々な感じで滑ってほしいな♪

 

そしてステファンランビエール
ジャンプでミスはあったものの、相変わらずカッコイイ(ё_ё)
「魅せる」という点において、やっぱり彼は一流だと思う。
復帰してくれて本当によかったo(;△;)o

 

「ワールド・フィギュアスケート」 29

 

 

ジョニー・ウィアーは、昨日は特に色っぽくて良かったと思います。
もっと点数出てもよかったと思うんですが、何が足りなかったんでしょう??
彼はプリンスというよりプリンセスだよな~と常々思っていたのですが、ネット上では「ジョニ子」って呼ばれてたんですね♪

確かに、ジョニ子っぽい(いい意味でですよ)。

 

「ジョニー・ウィアー 氷上のポップスター」 [DVD]

 

 
そしてエヴァン・ライサチェク。
恐いくらいに気迫あふれる演技。
長身と長い手足を存分に活かしたダイナミックな演技にはやはり圧倒される。

 

ジョニ子と、真逆に男男したライサチェックで男子ペア組んでほしいー。すごく似合うと思う。
「俺たちフィギュアスケーター」みたいにo(^o^)o

 

「おバカ映画」と言ってしまえばそれまでなんですが、結構おもしろかったですよ。
私はスキです♪
「俺たちフィギュアスケーター」 [DVD]

 

 

そして昨日一番衝撃的だったのがメダル有力候補の一人、ブライアン・ジュベール。
一体、どうしちゃったのだ?
彼のスケートに対する姿勢というか覚悟がかっこいいと私は思っていて、ランビエールの次に、いや、高橋君の次のランビエールの次に、いや、高橋君の次の織田君の次の小塚君の次のランビエールの次に応援していたのが彼だったので、本当にビックリというか衝撃的でした。
ん~。でもこれが一発勝負の恐いところなんでしょうね。。。
☆☆☆☆☆
プルシェンコ、ランビエール、ジュベール、高橋大輔、織田信成、小塚崇彦、ライサチェック、ジョニ子…。世界のトップ・スケーターが盛りだくさん!
『氷上の美しき戦士たち』

 

というか14日放送の「NHKスペシャル」にジュベールが出ていたっていうじゃないですか!
   2010年2月14日(日) 午後9時00分~9時49分 総合テレビ
     NHKスペシャル ~ミラクルボディー 第3回 
      「フィギュアスケート 4回転ジャンプ “0.7秒”の美しき支配者」

再放送も・・・終わってるーーー。
くぅ~“o(>ω<)o”。私としたことが・・・。
NHK様!是非とも是非とも再々放送をお願いします!!
(○ `人´ ○) タノンマスー!

 
日本勢はなかなかの好発進となりましたが、まだまだ何がどうなるか分かりませんね。
高橋君の地元岡山からも応援してるよー\(*⌒0⌒)bガンバレー!
できれば皆が、実力通りの「らしい」滑りをした上での競い合いを見てみたいですね。

10.01.28

手は口ほどにものを言う

カメラの前でおじきをする後藤真希さん。
気丈に見えながらも、強く何度も握りしめていた手がとても印象的でした。
彼女が入った当時(たぶん全盛期)のモーニング娘。が結構好きで、実はコンサートにも行ったことがあります。
弱さを見せない人のようですが「何もできないかもしれないけど側にいたい」、「少しでも支えになりたい」という仲間達の気持ちはきっと伝わっていると思います。

 

そして彼女の姿を見ていて、思い出した小説があります。
芥川龍之介の短編「手巾(ハンケチ)」です。

 

夫だか息子だかの死を、顔色ひとつ変えず淡々と話す上流階級婦人の話で、薄情なようにすら見えた彼女が実は、テーブルの下でハンカチを握りしめ、必死で悲しみをこらえていたという、おぼろげな記憶ではそんなお話でした。

 

ただ随分昔に読んだものなので、念のために(?)ざざっと読み返してみたところ、どうもそう単純な話ではなかったようで、すっかり印象が変わってしまいました。

 

微笑を浮かべながらも手を震わせ、実は全身で泣いていたというご婦人に主人公が感銘を受けるところまではその通りなのですが、その後です。
何気なく目を落とした本のその頁に書かれていた手巾にまつわる話。それを読んだ後、主人公の晴れ晴れとした心持ちに変化がおきるのです。
(以下、本文より抜粋)

 

**********************************

 

先生は、別に読む気もなく、漫然と眼を頁の上に落した。ストリントベルクは云ふ。――
――私の若い時分、人はハイベルク夫人の、多分巴里から出たものらしい、手巾のことを話した。それは、顔は微笑してゐながら、手は手巾を二つに裂くと云ふ、二重の演技であつた、それを我等は今、臭味と名づける。……
 先生は、本を膝の上に置いた。開いたまま置いたので、西山篤子と云ふ名刺が、まだ頁のまん中にのつてゐる。が、先生の心にあるものは、もうあの婦人ではない。(中略)それらの平穏な調和を破らうとする、得体の知れない何物かである。ストリントベルクの指弾した演出法と、実践道徳上の問題とは、勿論ちがふ。が、今、読んだ所からうけとつた暗示の中には、先生の、湯上りののんびりした心もちを擾(みだ)さうとする何物かがある。武士道と、さうしてその型(マニイル)と――
 先生は、不快さうに二三度頭を振つて、それから又上眼を使ひながら、ぢつと、秋草を描いた岐阜提灯の明い灯を眺め始めた。……

 

***********************************

 

主人公の先生と共に、読者の方も「ううむ・・・」って感じになりますよね。
気丈に振る舞うご婦人に日本の女武士道を見た気がした。
しかしその後偶然目にした本の中の文章に水を差される。
ストリントベルクが非難する「二重の演技」というものに、婦人の姿が重なってしまったのだ。
武士道に見えた婦人の振るまいそのものを否定しているようでもあり、それに踊らされていた主人公を笑うようでもあり、あるいは本来無関係なものを関連づけ、意味を持たせてはその妄想に簡単に翻弄されてしまう人間の姿を描いているようでもある。

 

幾度もの鑑賞に堪え、読むたびに印象が変わったり、新たな気づきがある。
名作といわれ、時を経ても残っているものには、やはりそれだけの理由があるということですね。

 

『芥川龍之介全集〈1〉』(ちくま文庫)
「手巾」の他「羅生門」、「鼻」、「芋粥」などを収録。

10.01.21

赤い車と白クマをめぐる考察

昨年から流れているCMで、すごくお気に入りのものがあります。
赤い車と、それはもう愛くるしい2匹の小熊(白クマ)が出てくる・・・

そう、あのPOLOのCMです。
初めて目にしたときから、の鮮やかなコントラストと、白クマたんのえも言われぬ可愛らしさにすっかり心を奪われてしまいました。

あのフワフワ感とムクムク感、そしてあの動き、すごくよくできていると思います。

 

そして小熊萌えの興奮を分かち合おうと、同じくクマ好きの友人に同意を求めたところ、

 

  あ~、かわいいよね~。

  でも、車に乗ってる人間としては、クマたん立ってのぞき込む・・・のシーンで
  「んきゃー、爪がー、新車にキズいっちゃうよ~!」
  って、ちょっぴりハラハラする(笑)

 

 

との答えが返ってきました。
それは地方在住ながら車に乗らないエコでマイノリティな私には全く無かった発想で、何だかとても新鮮でした。

「あ、そっか~、なるほどな~」とすごく得心しました。

 

視点が変われば感じ方も変わる。
車を運転しない私の心は一瞬で鷲掴みにした優秀CMですが、ターゲットであるはずの現役ドライバーには果たしてうまく訴求できているんだろうかとちょっぴり心配になった冬の日でした。

 
余談ですが、熊って「1頭、2頭・・・」だっけ?それとも「1匹、2匹・・・」という迷いが生じ、ネット検索してみたところ・・・、どうやら「頭」と「匹」の使い分けに明確な線引きはない模様。

 

ただ、次のような記述が見つかりました。
   両腕で抱きかかえることのできる動物を「匹」
       抱きかかえられない動物を「頭」
だそうです。そうだったのか・・・。

 

熊は通常1頭、2頭…だと思いますが、小熊だと1匹、2匹でいいのでしょうか?
もしも間違っていましたら、やんわりとご指摘ください。

 
あの子を数えたいけど匹なのか頭なのか、はたまた羽、尾、杯・・・?
考えだすと夜も眠れないよ~。そんな悩めるあなた(とか私)にお薦めの本がありました。
日本には数多くある助数詞ですが、その由来も分かるとおもしろいですよね。
日本語の持つ繊細さを再認識できる一冊。

 
『数え方の辞典』

09.08.28

1Q84である。


微妙なタイミングである。
1Q84を読む人は、もうすでに読んでいるだろうし、今この時点で読んでいない人は、この先も読まないかもしれない。
僕は後者ですね。たぶん。
***
僕は村上春樹氏が、嫌いなわけではない。
実際結構読んでいると思う。
「風の歌を聴け」も読んだし「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」も読んだ。
「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」も読んでいる。ほかにも、もっと読んでるかも。
ただ
結構おもしろかったはずなのだが、なぜだかまったく内容を覚えてない。
***
僕はもともと欧米の文学を主に読んでいた。
イギリスとかアメリカそしてロシアなどなど・・・
日本文学を余り読まない僕だが、村上春樹氏の本はあまり日本文学っぽくなくて
むしろ海外の文学を翻訳した感じがするのである。
だから違和感はなく、読みやすかったのであるが・・・
いかんせん記憶に残っていない。
***
でも1Q84を読まない理由はそのせいではない。
ちょっと売れすぎているからだ。
僕は若干ひねくれていて、みんなが「いい」と言うものに、反旗を翻したくなるのである。
巨人ではなく阪神を応援し、
ルパン3世では次元が一番好きで、
トヨタ車を買うぐらいなら、日産車を買う。
と、まあそんな感じである。
見ておわかりのように、そうたいしてひねくれてはいない。ほんとに若干ですね。
いわゆる2番手が好きなんだと思う。
***
1Q84のブックデザインは王道感に溢れています。もはやアイコンと化している。
こういった、ものすごく売れる本のカバーとしては正解だと思いますね。
何100万部も出る本は、例えば紙をすこし変えただけで、原価が大きく違ってきますしね。何回も増刷を繰り返すでしょうから、あまり凝った作りにもしにくいです。
とにかく露出が多いので、シンプルでメジャー感があれば、それでいいと思います。
でも、これまた僕の好みではないんですね。
***
そんな僕であるが、村上春樹氏が翻訳したレイモンド・カーヴァーは大好きだった。
それまで、短編小説の面白さが理解できなかったのだが、カーヴァーを読んで初めておもしろいと思った。
「ささやかだけど、役に立つこと」なんて特に好きだったな。
この作家を紹介してくれただけでも、村上春樹氏には感謝したいと思う。
***

翻訳といえば、僕の好きな小説の3位以内に必ず入るであろう「ライ麦畑でつかまえて」も村上氏は訳しているのだが・・・これは絶対に読みません。
僕の中には、野崎孝さん訳で、その世界が完璧に出来上がっていて、それを壊したくもない。
***
それに僕は若干ひねくれているのだ。