09.09.01

あの頃を思い出して原点!に帰ろう

今日から9月.2学期が始まって街の喧噪が本格的に戻ってきました.
大学だけは,もうしばらくの間静かですが.


新型インフルエンザがこの後どこまで猛威をふるうのか,気持ちの落ち着かない日々が当分続きそうですが,過剰反応をせず自己防衛だけはきちんとして,平静に普段通り過ごしていくしかありませんね.


さて唐突ではありますが,最近隆盛を見せている映画界に目を向けると,とかく蔓延しがちな沈滞ムードを吹っ飛ばすべく,「ハリー・ポッターと謎のプリンス」は7月の公開以来好調を続け,昨日29日からは日本映画の「20世紀少年」の3作目(最終章)が公開されて盛況のようです.
たいへん結構ですねー.沈滞していてもしかたないですからね.


実は,私もこの夏,割とたくさん映画を見ているんですよ.全部DVDを自宅で…ですけど(;^_^A


私は10カ月ほど前から日曜日に某大手レンタルショップから安価な料金の旧作をまとめて4,5本借りてきては,一週間で見て返す(平日にはまったく見られませんが)という映画生活を続けていて,洋画も邦画も雑食的に150本くらい観ています.
旧作といっても一年以内に劇場公開されたばかりのものもたくさんあるし,なにしろいちばん映画を観たのが高校時代という私なので,その後25年余りの間に作られたものだけでも名作,秀作が数限りなくあって,観るものがなくて困ることは全然ないんです.


当ブログで以前“じゅん”さんが取り上げていた是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』も素晴らしかったし,最高の俳優ショーン・ペンが監督した感動作『イントゥ・ザ・ワイルド』なんかも最近観ることができて,ささやかながらも深い感動にしばし浸りました.
スペクタクルな大作も嫌ではありませんが,傾向的には微妙で繊細な人の心持ちを丁寧に表現した映画を選ぶことが多いです.


最近,特に感動したのは,アダム・サンドラーとドン・チードルがかつての歯大の同級生でルームメートという間柄の40代の主人公を演じるマイク・バインダー監督の2007年製作の『再会の街で』.
原題はザ・フーの名曲からとった“Reign over Me”です.





“9.11”で最愛の家族を失った旧友に偶然出会った歯科医が,忌まわしい記憶を呼び戻す周囲の声を(たとえそれが援助を目的としたものでも)全て拒絶する旧友の傷付いた心に触れ,なんとか力になって傷を癒そうと努力するうちに,自分自身もいつしか家族との間に作っていた垣根に気付いていくというストーリーで,“家族”,“友情”について深く考えさせられずにはいられない,派手さは無いけれど重厚で素晴らしい作品です.
40代となったかつてのルームメートを演じる2人の演技も微妙な心情がきめ細かく表現されていて見応えがあったし,演出もすばらしい.
特に,その設定には惹かれるものがありました.


主人公の2人は私と年代も同じで,学生時代にのめり込んだロック・ミュージックの影響がその後の人生にも色濃く反映されていて…と,私にとってたいへん「共感できる」設定.
ということは,必然的に主人公2人が影響を受けたアーティストや作品も私とおおいに共通しているわけで,ブルース・スプリングスティーンの「ザ・リバー」やザ・フーの「四重人格」など学生時代の私たちがこよなく愛し,未だにその影響下にある70 ~ 80年代の黄金の作品群が全編にわたってフィーチャーされているのです.
間違いなくマイク・バインダー監督にとっての青春だったんだろうな.と分かる設定です.


アダム・サンドラーがプリテンダーズの塩ビのLP盤を取り出しながら,その臭いを嗅いで
「80年代の臭いがするぜ」
とつぶやくシーンなんか,
「そうそう,ほんとにその通り」
と,口には出さずにんまりと同意してしまいました.
さらにドン・チードルが
「いや70年代末だ」
と返すにいたっては,細かすぎるぐらいで
「誰も分からんじゃろ,そんなこと」
と思わずツッコミを入れてしまいました.


時空も距離も超えて
「俺と同じことを言うやつがいる」
ことに嬉しいような不思議なような,ちょっと表現できない感動を覚えた瞬間でした.
これ分かる人は分かっていただけますよね.


コメントをどうぞ