09.01.22

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

オバマ新大統領の就任式、日本時間では深夜スタートでしたが、TVを見られていた方も多いと思います。

睡眠不足でも、何だか終始興奮ぎみな一日でした。

 
注目されていた就任演説ですが「60年前には地元のレストランで食事をすることも許されなかったであろう父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行う・・・」というくだりでは、かなりグッときました。

60年、そしてキング牧師による名演説からは46年、当時誰もが実現することはないだろうと思っていたアフリカ系(黒人)初の大統領誕生。

アメリカだけでなく、全世界にとって紛れもない歴史的な日だったんだと思います。
世界史の教科書にも記載されるでしょうし、後世にはNHK「その時 歴史は動いた」でも取り上られるに違いない!

 
「今日のその時は、2009年1月20日(アメリカ時間でOK?)といたしました」

という松平キャスターの名調子が聞こえてきそうです。
と思っていたら、番組終了が決まったんですね。残念。

 
さて、本日は簡単お手軽にアメリカ事情を知りたいのぉ(*゚-゚)という私のような人にお薦めなアメリカ入門書のご紹介です。

 
『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』

 

アメリカは何であんなに戦争が好きなのか?ブッシュ(前)大統領はなぜ再選できたのか?

 

もともとは週刊誌のコラムとして連載されていたものに加筆、修正などしてまとめたものだそう。語り口は軽妙で小難しくはなく、非常に読みやすかったです。 

 

まず、このキャッチーなタイトルは、2006年にナショナルジオグラフィックがアメリカの若者を対象に行った調査結果によるものだそうです。
ちなみにイラクの場所が分からなかったのは63%。自国と戦争をしている国なのに。

 

アメリカ人の無知は、2004年の大統領選挙でブッシュが再選された理由の一つだという。
そもそもアメリカには「無知こそ善」とする思想、反知性主義というものがあるらしい。
余計な知識は聖書への疑いを増すだけだからだ。
聖書の言葉を歴史的事実として受け取る「福音派」は共和党の強力な支持基盤であり、アメリカ全人口の3割を占めるといわれる。
進化論やビッグバンを否定し、宇宙は神が7日間で創ったものだと教える。
子供たちを洗脳し、ブッシュはゲイや中絶や異教徒と戦う聖人なんだと教え込む。

 

ろくな教育も受けられない貧困層の若者は戦場へ送り込まれ、残虐行為に加担した彼らの多くは、帰還後もPTSDに苦しみ続ける。

その一方で、富裕層の軍隊経験者は激減しており、政治家の軍隊経験者にいたっては約5パーセントに過ぎない。
そんな中、大統領選でオバマさんと戦ったマケイン氏は、ベトナム戦争で捕虜になり、数年にわたる過酷な拷問を経験している。そして自分の息子を、戦死率の高い海兵隊に入隊させたという。

この本が発行されたのは2008年の10月。大統領選前であるが、マケインさんに好意的な記述が目立ったことも興味深い。

 

他にも、年収360万円で200万円の借金もある若者に2億円以上も貸し付けたローン業者(いわゆるサブプライムローン)の話、病人を見殺しにする医療制度、石油業界の圧力、アンチ・ゲイを高らかに叫びながら同性との関係を暴露された政治家など、今のアメリカが抱える様々な問題とその背景にあるものをうかがい知ることができる。

 

宗教を否定するつもりはありません。
ですが、一神教のあまりにも強固な排他性は、クリスマスに浮かれ、初詣は神社・仏閣に行くという多くの日本人には理解しにくいもの。
「反知性主義」というのも、支配層の作戦なんじゃないかと思えてきます。疑うことを知らず、無知でいてくれた方が操作しやすいから。結局は一部の人間が、自分たちの利益のために宗教を利用しているだけのような気がしてくるのです。

 

でも、それは日本も同じかもしれませんね。
庶民からはしっかり搾り取るくせに、天下ったり渡ったりする人達の既得権は何としても守られるみたいだし、何してるんだかしてないんだかわかんない公益法人多すぎだし、世論の反映されない法案もいつのまにか通ってるし、マスコミは総理が漢字読めないとかどーでもいいことしか報道してくれないし・・・。
なんかぁ、私たち国民って、ものすごくバカにされてる気がするんですけどぉ。

まったく世の中、理不尽なことだらけです。

だけど、そんな政治家を選んだのは国民のはず(総理は選んでないけど)。

オバマ大統領就任演説の「我々の経済は、ひどく弱体化している。一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をすることなく、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果である。」というところ。
これってそのまま日本にも置き換えられるんじゃ・・・と思っちゃいました。

 

問題山積みなところに大きすぎる期待で、これから大変だと思いますが、オバマさんには何とか頑張っていただきたいと思います。

てか日本も頑張るのだ!

 

 

 

 

あ、そうそう。ニューヨークの場所なんて私も知りませんが・・・という方にお薦めなのはこちら。

今がわかる時代がわかる世界地図 2009年版

地図とともに各国の基本データ(面積、人口、国旗、政治的リーダーなど)から軍事費、GDP、国連分担金、生活習慣病などのランキング、宗教分布など、政治、社会、経済、環境、スポーツ各ジャンルの最新データが掲載されたおもしろ賢い?ビジュアル世界地図です。

毎年データは最新版にさしかえられ、新しい時事テーマなども追加されるようです。

私が持っているのは少々旧く2005年版なのですが「牛肉消費とBSE」というトピックに懐かしさを感じます。

2009年版にはアメリカ大統領選挙、ガソリン価格などが新しいテーマとして加わっている様子。

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