『ウイニング・アグリー』を読めばテニスが強くなる?
この本は数あるテニス本の中でも、名著といってもいい本の一つだと思います。
若い人は、この人の現役時代は知らないでしょうね。
いまの人はアガシの元コーチといえばわかるでしょうか?そう、あのブラッド・ギルバートの書いた本です。
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僕ぐらいの世代に、ギルバートは結構印象に残っているのです。あまり華はないのですが、海賊のような風貌で、特にジャパンオープンなどでよく活躍してましたからね。
ビックショットはないのですが、オールラウンドプレイヤーで、なんとなく勝っているイメージでしたね。
トップスピンやスライスを織り交ぜて、ストロークで左右に振り、チャンスをみては、ネットに出てボレーでしとめる。といったテクニシャンタイプです。
プレイスタイル的には結構好みだったりします。
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ブラッドの試合で一番印象的だったのが、出始めのピート・サンプラスと戦ったグランドスラムカップ決勝でしょうか。
日の出の勢いのサンプラスに粉砕されてしまったのですが、でもなんだかんだで決勝にはいっていますから…
あのときのサンプラスは怖いものしらずで、めちゃくちゃハードヒットして、しかもそれがほとんど入っていましたから、策士のギルバートでもどうすることも出来ませんでした。
でもギルバートは大物食いとして有名で、マッケンローやベッカー、コナーズなど錚々たるプレイヤーを破っています。
なぜたいした武器のないギルバートがマッケンローやベッカーに勝てるのか?
それがこの本には書いてあるのです。
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他のテニスの本のように、グリップがどうとか、テイクバックはこうしなさい。といったような技術的なアドバイスは全然ありません。
書いてあるのは、戦略、準備、考え方などです。
しかしテニスはそれが重要なのです。
一例をあげると、「大蛇のようにプレーしろ」とギルバートは言います。
どういうことかというと、蛇は獲物を一気に絞め殺しはしないそうなのです。相手に巻きつき、獲物が息を吐くたびに、少しずつ締め付けていきます。
テニスも同じで、一発のエースで決めようとせずに、じわじわと相手を追い込んでいきなさいと。
少しずつ相手の余裕を奪っていけば、相手がミスってくれたり、最後に自分のショットがエースになったりするのです。
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この本にはトッププロの例が沢山でてきますが、一般のプレーヤーに置き換えてもくれてますので、かなり役に立つ本だと思います。
スクールで練習するのもいいのですが、この本を読むだけで、スクール何回分もの効果があると思います。
かなりおすすめです。