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11.09.11

小津安二郎監督の“反戦”について      -吉田喜重『小津安二郎の反映画』未読了-

先週末、台風12号は岡山に上陸し、私の住む地域では小学校の裏山が崩れて校舎内に土砂が流れ込み、3日間の臨時休校を余儀なくされました。再開後も一部の学年は近隣の中学校を借りて授業をしているようです。
平日で児童がいたら、あるいは(避難所指定されているため)ここに避難してきている人がいたら…と思うと空恐ろしくなりますが、せめてもの救いに人的被害はここ岡山ではありませんでした。
紀伊半島を中心として大きな被害を受けた地域の皆様には、謹んでお見舞い申しあげます。

一階部分が完全に埋まった郷内小学校の校舎(授業は8日から再開しました)



10年が経ち、そして半年が経ちました

さて、今日は9月11日。ニューヨークで起こった同時多発テロから丸10年。同時に東日本大震災から半年です。
テロと自然災害、経緯はまったく異なりますが、一瞬でおびただしい数の人びとに苦痛と悲しみを与えたカレンダーの対角上になる2つの大惨事は今後20年、50年、100年といったスパンで人びとの記憶に刻まれることでしょう。
どちらも繰り返し起こってはいけないこと。人として記憶に刻み続けなくてはならないことだと思います。



小津安二郎監督の“反戦”について

私がこよなく愛して止まない映画に「晩春」「麦秋」「東京物語」「秋日和」「秋刀魚の味」他、小津安二郎監督の戦後の作品があります。
小津安二郎は戦前戦後を通じて活躍した松竹の映画監督で、サイレント時代の喜劇映画も有名ですが戦後に撮った松竹の10本と他社の2本の計12作品は特に名高く、国内・海外の数多くの映画監督に多大な影響を与えた偉大な監督です。
ただ、観た人すべてが同じ感想を抱くように、その作風は一貫して

  「ありふれた庶民の日常生活」
  「平凡な家族の当たり前の生活」に起こった小さなできごと

を冷静な視点で捉えた、とても穏やかな、見ようによっては退屈と思えるほど淡淡としたものです。大きな事件や派手なアクションは一切ありません。
ただ、静かでさりげないがゆえに強くて重い主張を感じずにはいられない、そういう場面がどの作品にも必ず織り込まれています。

小津監督は昭和12年に34歳で召集され、ほぼ2年の間、中国国内を一兵士として転戦しています。毒ガス部隊に配属されるなど、恐らくは人を苦しめ、死に至らしめるような所業にも関わらざるを得ない日日だったと思われます。1903年生まれの小津監督にとって、また恐らくはその時代に生まれた人びとにとって、それは是非を超え、避けて通ることのできない日日だったのではないでしょうか?

そうした自分の体験も間違いなく背景にあって、残虐で非人間的な戦争という悲劇をなぜ人は起こしてしまったのか、声高な主張は一切ありませんが、明確な反戦のメッセージを伝えようとしているのが分かるのです。



「映画はドラマだ、アクシデントではない。」
   -小津安二郎監督 語録(吉田喜重氏の回顧より)


松竹で小津安二郎監督の後輩であった映画監督の吉田喜重氏は、著書や対談で小津監督について

  「小さなずれを生じながら反復される毎日の生活」 こそが人間の営みである
 との視点を持っていて、
  「繰り返す毎日、日常にささやかな平和、楽しみ、喜びを見つける」
 ことが一貫してその作中に流れるテーマである

と語っています。
そうした本来の姿を持つはずの人間が、時に戦争やテロといった大きな出来事を引き起こすのはどうしてなのか…。
時を超え、戦後10年以上が経過しても変わらぬ視点で淡淡とつづられる庶民生活の場面の数数は、裏返せばそれ自体が人の愚かな習癖に対する疑問であり監督の問い掛けであるかと感じられます。

  「映画はドラマだ、アクシデントではない。」

死の床にある小津監督を見舞った吉田監督と妻の女優 岡田茉莉子さんに、病床の小津監督が掛けた生前最後の言葉として吉田監督が紹介しています。戦争や9.11、そういった大きな出来事は絵空事、アクシデント。それに対し、ドラマは毎日繰り返される日常的な営み。そういう自分の考えを伝えたかったのではないかと吉田監督は言います。

人間は本来、繰り返す日常を淡々と過ごす存在であり、人生の中で大きなアクシデントを起こすものではない。
しかし、
一度犯してしまうと取り返しのつかない悲劇となり、一瞬にして発生し、長きにわたって多くの人に苦しみと悲しみを与え続ける、そうしたアクシデントを繰り返してしまうのもまた人間の業

それもまた分かっている。
でも、どうしてそんな必要があるのか?

人間が本来持つ穏やかで平和な面を描き続けた小津監督の映画(ドラマ)を、そこに込められた戦中世代の痛切なメッセージを、その痛みを知らないで育った私たちではありますが、感じ取り次世代へと語り継がなくてはいけないと思います。


[吉田喜重『小津安二郎の反映画』岩波現代文庫、2011. 6(未読了です)]


[日本映画の至宝 小津安二郎監督の作品セレクションⅠ]


[日本映画の至宝 小津安二郎監督の作品セレクションⅡ]

11.09.07

☆星新一が見通していた未来☆

秋風が肌に心地よい季節となりました。
先日の台風12号により被害を受けられた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

これから実りの秋を迎えるわけですが、今週発売のライバル経済誌、奇しくも同じ「コメ」特集となっていました。

 

センセーショナルなコピーはあまり気持ちよくないですが・・・。

「週刊 ダイヤモンド」2011年 9/10号
 

 

「週刊 東洋経済」2011年9/11号
 

 

そして話はガラリと変わりますが、昨日9月6日は、
「ショートショートの神様」星新一 生誕85周年!
という記念すべき日でした。
Googleトップページって、季節感だけじゃなく、○○記念日なども教えてくれて、気が利いてますよね♪

 

星作品というと、小学校高学年~中学生時代に出会う人が多いと思います。私もその時代にすごくはまって読み漁り、刊行されていたものはすべて読破しました。
でも当時、SFのショートショート=小説の中ではちょっと格下、ラノベなどと同程度と思われていたふしがあり、「あんなものは小説ではない」などと言う先生もいました。
ですが1,000話以上に及ぶアイディアはやっぱりすごいし、誰にでも読める(理解できる)文章を書くというのも、実はすごく難しいことだと思います。
近年になってNHKで映像化されるなど、再評価著しいようです。

 

「星新一 ショートショート」 DVD-BOX

 

「星新一 ショートショート 1」 [DVD]
 

そして星新一といえば「エヌ氏」ですよね♪
「固有名詞を使わない」、「時代の風俗を描かない」ことをモットーとしていたため、その作品には普遍性があり、時を経ても古くさくなることがないのです。
また、TV番組「ビーバップ!ハイヒール」(朝日放送)で見たのですが、再販がかかったり、新装版が出たりする度にゲラをチェックし、時代に合わなくなった言葉を別の言い方に変更するなど、細かな手入れをされていたそうです。さらりと書かれているようで、たゆまぬ努力があったわけですね。
  (例)「ダイヤルを回す」→「電話をかける」 など

 
また、彼の先見の明についても、最近特に注目されています。
確かにその作品の中には、30年、40年以上前に書かれたものでありながら、ネット社会、Free(何でも無料)時代、クローンや臓器移植問題などといった現代社会を連想させるものが多々描かれているのです。
もっと便利に、もっと楽しく快適に・・・。果てることない人間の欲望。

それを叶えるべく、科学技術は進歩を続ける。
快適さや利便性を追求し続けた結果の未来(=現代)の世界。
どこまでも読みやすい。
だけど現代社会の諸問題を考える入門書としてもよいのかもしれませんね☆

 

『ボッコちゃん』
 


『妄想銀行』

11.08.31

どじょうと金魚とプラナリア

日中の暑さは相変わらずですが、朝晩は随分過ごしやすくなってきた気がします。

今日で8月も終わり。早いですね。
良い子のみんな、宿題はちゃんと済ませているかな?

今も昔もチビッ子達を悩ませる宿題といえば、自由研究、絵日記とかでしょうか??
小学生の頃、プラナリアの再生実験に挑んだものの、予想をはるかに超える増殖っぷりに恐れをなし・・・・・・▽※%◎◆×※○▲ということがありました(-_-;)

苦い思い出です。 

 

 

『切っても切ってもプラナリア』

 

 

そして大人の世界では、野田さんが新総理大臣に決まりました。
「どじょうが金魚のまねしてもしょうがない。」

という部分がクローズアップされていましたが、相田みつをファンって政治家の中にも多いんですね。。。   
   
そういえば似たような言い回しがあったなぁ・・・。
そう、これです。  
  「愚かなる行いのほとんどは、
   自分とは似ても似つかない人間のマネをしようとすることから生じる
                          (サミュエル・ジョンソン)」

 

どじょうの詞をご希望の方はこちらをどうぞ

『おかげさん』

 

野田さんの演説力はピカ一だったと、各所であまりにも絶賛されているので、全文を聞いてみたくなりました♪o(^-^o)♪
アメリカの大統領にはスピーチライターがいますが、野田さんにもそういう人がいるのでしょうか??

 

世界を揺るがす決断がなされる場所、ホワイトハウス。
アメリカ大統領と彼を支えるスタッフたちを描いたドラマがこれ。
すごく面白いです。おすすめ☆
 
「ザ・ホワイトハウス」1stシーズンDVD

   
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先週1週間、インターンシップに来られていた学生さんから、丁寧なお礼状をいただきました。えらし!です。ありがとうございました。
振り返ると1週間、本当に早かったです。お疲れ様でした。
TMさんは勘がいいんでしょうね。よく気がつくし、お愛想もできる。
本当にいい子、といっては失礼かもしれませんね、いい人材だと思いました。(*゜-゜*)
これから色々なことがあると思いますが、いい事だけじゃなく、悔しかったり、辛かったりしたこともすべて、経験は財産になると思います。
TMさんの今後のご活躍を祈っています☆

11.08.24

インターンシップの学生さんがやってきました

今週月曜日、ふくろう出版に新鮮な風が吹き抜けました。
この夏、弊社はインターンシップの受け入れを行っており、今週1週間がその研修期間となっているのです。

参加してくださったのは市立尾道大学の学生さん。

 

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  メイントレーナーである熱血特派員亀山氏と

 

出版についての基礎知識講習に始まり、実務では編集・校正などのほか、出来上がってきた本の移動や梱包など、力仕事も体験してもらっています。
女子にお願いするのは気が引けるのですが、少人数所帯のふくろう出版では、女子でも力仕事を避けて通ることはできません。 吹けば飛びそうな、細っこい清楚系女子フジワランも、重たいダンボール箱をひょいひょいと運んでいますv(・_・) ブイッ。(だけども今、フジワランは足を痛めているので心配です(>_<;))

 

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かわいいですね♪

お肌のハリや透明感はもちろんのこと、あまり物怖じしない感じがうらやましいです。
いいなぁ・・・、若いって。

 

あ、そうそう。実は彼女、学生ながら本を出しているんです!!

 

 

私は敢えて「一流」をめざす

尾道大学の学生12人と教授による共著です。

現在、品切となっております。申し訳ございません。

 

いいなぁ・・・、若いって。

 

『若いってすばらしい』

的確なコメントや言葉選びの上手さに頭の良さがうかがえるミッツママのお店にいつか行ってみたいです☆

11.08.20

辛坊 治郎氏 講演会(「ちょっと」前の)報告

ちょっと前になるのですが、前よみうりテレビ解説委員長 現在は株式会社大阪綜合研究所代表の辛坊治郎氏の講演会を日本生命岡山支社さんが催され、無料セミナーということもあって、いそいそと聴講してきました。
6月13日月曜日午後6時半開始。場所は岡山プラザホテル。2か月前です。「ちょっと」か!?
すみません、だいぶん前です…。

さて、辛坊氏というと関西では絶大な支持を誇るキャスターです。会場のホテルに開始30分程度前に着くと、すでにロビーは黒山の人だかり。みんな「たかじんのそこまで言って委員会」を観てるんだろうな、と思ったりしながら会場へ。
講演会場にはパイプ椅子が整然と並び、25人×36列のなんと900席。



[さすが「しゃべりの達人」です]

講演は90分間。キャスターとして活躍する日常の話、政治の話、「たかじんの~」の出演者とか視聴者からの反応などのエピソード…興味深い話題がめくるめくかのごとく続いた、あっという間の90分でした。

なんといっても話が理路整然として分かりやすい。これは一朝一夕にできることではありませんが。
そして、いろいろな突っ込みを入れたくなる話題が中心なのですが(もちろん聴講者もそれを期待している)、むやみに批判したり上から目線や説教調になるのでなく、
謙虚さ、客観的な分析、それに関西人ならではのユーモア
で的確にやんわりとまとめてくれるので、会場はハイテンションながら終始和やかで最高の雰囲気でした。
スピード感を保ちながらも的確に「注」を付けながら話してくれるので900人の聴講者の誰一人置いて行かれることなく、最後まで演者と聴講者が一体になりきっていました。
さすがキャスター、解説委員、そして名うての「しゃべり」の達人でした。

次回またチャンスがあったらぜひ参加したい(もちろんお金を払って)です。
日本生命岡山支社様、お世話になりました。

当日の話にもありましたが、辛坊氏はよみうりテレビで月~金の朝帯「す・またん」(5:20~6:30)のアンカーをしているため毎朝2時起床なんだそうです。なんと、ベーカリーをやっている私の友だちと同じ起床時間。

8時に終了して、すぐに発っても帰阪が11時くらいにはなるでしょうね。
平日の夜に地方で講演会なんて、めったなことではできそうにありません。
距離的に見ても名古屋か岡山が限界では?得がたい貴重な機会だったなー、と幸せな気分で会場を後にしました。

月曜の夜とあって忙しいのか、聴講者は大半が私より先輩の方方でした。
20~30代の若い皆さんも、もっともっと聞きに来るといいなーと思います。



[人とのコミュニケーションを図る上で大切なこと]

最後に、当日特に印象深かったお話を僭越ながら紹介させていただきます。
上記はこの日のメインテーマ。盛りだくさんの話に織り込んで、さり気なく辛坊さんが教えてくれた3か条を紹介します。
座右の銘にしたいような、まさしく金科玉条だと思いますよ!

―― 1対1のコミュニケーションは、まず自分が相手の話を聞くことから始めよう。
 >相手に自分の話を聞いてもらうには、まず相手の話をしっかりと耳を傾けて十分に聞かないといけない。聞く姿勢を示さないといけない。聞くことはしゃべることよりもずっと難しい。


 [カウンセラーの先生方などにも通じる姿勢ですが、当然のことと頭ではわかっていても、しばしば失敗を犯してしまいます。「自分がしゃべるのは後から」。鉄則ですね。]

―― 思いついたことをすぐ口に出さない。口にするのは一度頭で回してから。
 >言葉は花束にも凶器にもなる。無意識のうちに口にした言葉が思いがけない凶器になることもある。言葉として口に出すと、良くも悪くも後後まで相手に残るもの。言葉を口に出す前に一度頭で回せ。


 [まさに、政治家など優秀なはずの方方の「失言」が後を絶たないのは、この図式ではないでしょうか。]

―― 与えられたニュース(数値、話題)を鵜呑みにしない。
 >見かけ上は正しそうでも、真に事実とは限らない。数字により表出されているものの奥にあるもの、向こう側にあるものを取りに行く心構えを常に持つ。


 [まさにジャーナリストならでは。しかし、私たちも世論を担う一員ですから同じです。]



[新刊です(これまた少し前ですが)。よろしくお願いいたします。]



ところ変われば「常識」というものがこうも変わるのか!
を多方面の切り口から平易に紹介しています。
まろやかな口当たりにして得がたい情報がぎっしり。後から効いてくる1冊です。

11.08.10

岡山城炎上?!

毎日暑い日が続いておりますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
岡山の夏といえば桃。ぶどう。そして「幻想庭園」です!(`・ω・´) キリッ!
以前、当ブログでもご紹介しました岡山後楽園、夏のライトアップイベント「幻想庭園」に今年も行ってまいりました。

 

訪れたのは8月6日(土)。ちょうど岡山では納涼花火大会の開催日なのでした。
会場となる旭川の河川敷は毎年見物客で大混雑。行きも帰りも大変です。
そこからほど近い後楽園が意外な穴場だという噂があり、その真偽を確かめるため(?)今年は後楽園から花火を見ることにしたのでした。

 

たどり着くと、普段の後楽園よりは、さすがにかなり賑わっていました。
ですが、河川敷の混みっぷりに比べれば何でもないです。

 

だけどもやっぱり夜景モードは難しい。花火モードだともっとうまくいかない_| ̄|○ il||li
カメラのせいか、腕のせいか・・・。
ほとんどがブレブレ写真だったのですが、せっかくなので比較的マシなものをUPしてみます。
本当はもっともっとキレイだったんです!心の目で補正しながらご覧あれ!

 

まずは幻想庭園の模様。 

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花火が上がるとこうなります!
結構離れている気もしますが、お城と花火が一緒に見られるのって、何か贅沢。

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お城と花火がもっと近くなるポイントがあるはずと、しばしさまよう。

 

そう!こんな感じ!

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岡山城、炎上?!

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幻想庭園は21:30までなので、花火が終わった後(20:30)でも、ゆっくり散策することができます。

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仕掛など低い花火は見られませんが、人ごみで身動きとれず、仲間とはぐれたら一生めぐり会えそうに無い(?)河川敷に比べると、かなりゆっくりゆったり見られますし、幻想庭園も楽しめる。
お腹に「ドーン!」と音が響くくらい、そして花火のカス?が降ってくるぐらい近くじゃないと見た気がしない、という方以外にはお薦めできます。
だけどそんな口コミ情報により、後楽園花火客は年々増加の一途だそうで、お薦めしたいようなしたくないような、微妙に揺れる乙女心でありマウス。~( C・>

 

『岡山後楽園の春夏秋冬』

 

岡山にお越しの際は、こちらをどうぞ。

 

岡山を食べる!
美味しい、楽しい、また行きたい。岡山の厳選105店を絵日記で紹介。
人気ブログからの書籍化です!
 

岡山GOGOグルメ隊!!』

 

岡山を飲む!
粋な大人の癒し空間、Bar。
お店そのものより、バーテンダーにスポットをあてた、全国的にも珍しいバーガイド。
中のコラムもおもしろいです。


『おかやまバーテンダー』

11.08.05

手術室の奇跡?

またまたご無沙汰しておりました。
実は入院・手術のため、しばらくお休みをさせていただいておりました。
私事で恐縮ですが、その時のお話を少し書いてみたいと思います。

 

初めての入院+全麻手術。不安はありましたが、引継ぎやら入院準備やらで直前までバタバタしており、あまり深刻に考えこむ間もなく、入院の日を迎えました。
そして翌日にはもう手術。そこまできて逃げるわけにもいかず「もう、どうにでもなれ!」と覚悟を決め、意外に軽快な足取りで、手術室へと向かいました。

 

手術室へ入ると、そこには音楽が。アメリカの医療系ドラマなどでは、ドクターが自分の好きな音楽をかけ、すごいノリノリな感じで手術をしている風景がよくあって「あ~、ホントにこんな感じなんだぁ♪」と、なぜかドラマの主人公気分(笑)。
そして何と、流れていたのは私の大好きな林檎ちゃん!!しかも、特に愛してやまない、椎名林檎初期ソロ時代の曲だったのです!

 

手術室で音楽。そしてまさかの林檎ちゃん。
何か、すごく運命的なものを感じました!
「大丈夫。きっとうまくいく。」そう神様が言ってくれているような・・・。

 

そんなことを思っているうち、すぐに麻酔で意識は遠くなり、翌日目覚めたときにはICUのベッドの上でした。
術後1週間は本当に辛かった(口と鼻をふさがれた状態だったので、痛みより息ができないのが苦しくて、死ぬかと思いました)。
ですが、無事、生還することができました。
神様、仏様、林檎様、そしてご心配くださった皆様、本当にありがとうございました!

 

セカンドアルバム『勝訴ストリップ』
一番好きかも。

 

 

 

傑作すぎるファーストアルバム『無罪モラトリアム』

 

 

それにしても、最近の若いお医者さんって、キレイな人が多いなーと思いました。
きれいで頭がよくて、一般的にステイタスが高いとされる職業につき、それに見合う報酬もきっとあり、薬指には指輪がキラリ(☆д・)
全部持ってます!
そして持っている女性の配偶者は、やはり持っている人だと思われ・・・。
あ、別に妬んでいるわけではないんです。うらやましいだけ。(´・ω・`)

 

最近の若いお母さんには、キレイな人が多い(文明の利器や各種サービスの充実などにより)。子どもを持つ女性限定の就業支援(優遇)なども増えてきている。持つものと持たざるものの格差がより鮮明になってきている、みたいなことを確か香山リカさんが書かれていたのを、ふと思い出しました(^^;)

 

『しがみつかない生き方』

 

 

この度は看護師さんにもお世話になりました。
体力的にもきついと思いますし、患者さんにとっては精神的な支えとなることもあり、大変なお仕事だと思います。
取り乱し、泣きじゃくっている患者さんに対し、優しく辛抱強く接している姿など、本当に頭が下がる思いでした。

 

看護系教官、看護師、保健師など看護専門職の人々が、患者や家族、友人との関わりなど、自らの体験、心に残るエピソードなど、思い思いに綴ったエッセイ集あります。
「看護専門職の人生を育むもの」シリーズ
第8弾『仕事と誇り』


 

 

【教えて!ドクター♪】
岡山市中区やけまるさんから届いたこんな質問。先生に聞いてみました!(*^-^*)

 

質問:手術の時、トイレに行きたくなったらどうするんですか?ドクター交代?それとも我慢できる体になっているんですか?
答え:集中しているからか、これまで手術中にトイレに行きたくなったことはありません。
質問:10時間以上とか、すごい長時間の手術でも?
答え:はい。「お腹すいたなぁ~」って思うことはありますけど。

 

プロフェッショナルですね!
そういえば、占い師「新宿の母」も、鑑定中は立ちっぱなしで、食事もしないしトイレにも行かないと言っていたと思います。お客を待たせないためだそうですが、何十年も毎日そんな生活じゃ体が心配です。無理しないで!

11.05.24

「東北魂」

例年のごとく、年明けすぐの繁忙期突入により、またもや激しくお久しぶりになってしまいました。

 

遅ればせながら、東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますと共に、一日も早い復興をお祈りいたしております。

 

遠く離れた岡山にいてできることは、募金(寄付)、そして普通の生活を続けることだと思っています。
自粛より、復興のためには経済を止めないことが大事ですよね。
西日本が日本経済を引っ張ります!なんていうのはおこがましいですが、それくらいの気持ちでお仕事も頑張ります!p(・∩・)q

 

さる5月22日、岡山市民会館で開かれた「爆笑バトルライブツアー2011 in 岡山」に行ってきました。
自らもロケ中に被災していたという仙台出身サンドウィッチマンの呼びかけにより立ち上げられたチャリティーライブ
出演者はサンドウィッチマンの他、響、我が家、U字工事、キングオブコメディなど。
豪華、豪華!O(≧▽≦)O ワーイ♪
ライブは文句なしに面白かった!ツアーバスも出ていたみたいで、広島、高知など近県からもたくさんの方が来られていたようです。すごく盛り上がっていました。

 

サンドウィッチマンプロデュースのチャリティーTシャツも売られていました。
メーカーの協力により、売上げの全額が義捐金として寄付されるそうです。

1枚:1,500円なり。

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バックには「ナメるな!」と強い言葉が使われており、ひっかかる方もいるかもしれません。
震災直後のブログでも伊達ちゃん(金髪の方)が書かれていた言葉ですが、ショックに打ちのめされそうな自分を奮い立たせるため、あえて使ったのだそうです。

            

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全てのお店は閉まっています、信号もありません。


でもね、ちゃんとお互い助け合って順番を譲ってあげたりしています、だから変な事故とか争いがありません。


みんなスゴいです!!


戦後、俺たちのじいちゃんやばぁちゃんは日本を復活させた。
世界には奇跡と言われた日本の復興。


必ず復興します!
日本をナメるな!
東北をナメるな!

               (3/12 サンドウィッチマン伊達みきおオフシャルブログより)

 

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ブログも読みましたが、被害を目の当たりにした人の言葉というのはやはり違うと思いました。
震災直後から行っていた被災者目線での現状発信や、批判も覚悟の上での提言、自ら行った1,000万円の寄付など、お二人の熱意と行動は本当に素晴らしいと思います。
今回のチャリティーライブについても「何年でもやっていきたいし、やり続けることが大切」との意向。ますますファンになりました☆


ちなみに、イギリス紙「インディペンデント・オン・サンデー」の1面に「がんばれ、日本。がんばれ東北。」と日本語で記された日の丸が掲げられたのも、伊達ちゃんブログがきっかけだといわれています。

 

こちら(楽天)からも購入できます。
全額が寄付されるチャリティーTシャツはこれですよ。
類似品にご注意ください。

 

ライブ後はサンドウィッチマンの二人による募金の呼びかけ。

 

長蛇の列ができ、ほとんどの方がお札を入れられていました!
ごめんなさい。その時1万円札1枚しか持ち合わせがなく、ありったけの小銭(^^;)を募金させてもらいました。

 

募金、そして握手。
大きくて暖かな手からも、復興にかける熱く真剣な思いが伝わってきました。
伊達ちゃん、大好き

 

もっと千円札持っていくべきだった(1万円札と言えない私を許して(><))とか、Tシャツもっと買ってもよかったな。
後から思ってしまったので、その心残り分を、彼らが立ち上げた義援金口座「東北魂」に翌日振り込みました。
義援金受付窓口や募金箱はたくさんありますが、私は伊達ちゃん達に託したいと思ったのです。

 

たくさんありすぎる義捐金受付窓口や募金箱。
せっかくの善意を無にしないために、ある程度自分で調べるなどして、自分が託したいと思うところに寄付をするのがよいと思います。 

『こんな募金箱に寄付してはいけない』


今回の件で、ボランティアに興味をもたれた方も多いと思います。
大学生のみならず、ボランティア初心者にも分かりやすく解説された本はこちら。

『大学生のためのボランティア活動ハンドブック』

 
海外からもたくさんの支援がよせらせ、本当に有難いと思います。
日本は世界から愛されていました。

 

『世界が愛した日本』

 
ACのCM効果で、再ブーム到来の金子みすゞ。
彼女の詩はかわいくて好きです。「お魚」とか「ふしぎ」とか特に好き。
生きとし生けるもの(どころか無生物に対しても)に対する等しい眼差しとか、その子どものような感性に、すごく共感できます。 

『金子みすゞ童謡集』

 

弊社書籍著者の先生からも収益を義援金にと、支援のお申し出をいただいております。
ありがとうございます。<(_ _)>

 
『ストレングスアプローチワークブック』

10.12.21

もしもサンタクロースに兄弟がいたら・・・

もうみっつ寝るとクリスマス・イブですね。
というわけで、今日はクリスマスにお薦めの映画をご紹介します。

 

「ブラザーサンタ」

サンタクロースには兄弟がいた!という設定のこの物語。面白かったです☆

 

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フレッドはデキのいい弟とは大違いのダメ人間。

努力はしたものの、聖人のように完璧な弟ニコラスの足元にも及ばない……。
それもそのはず、弟のニコラスこそは“サンタクロース”なのだ。
ニコラスが人に与えることを惜しまない模範的な人物である一方、フレッドは詐欺まがいの資金調達をし、その揚げ句、留置所入りする始末!
そんな中、ニコラスは妻の反対を押し切って「北極でクリスマス用のおもちゃを作る」という条件で兄の保釈に手を貸すことに。
一方北極では、怪しい能率専門家が、クリスマスを永久に廃止しようと企んでいた!
はたしてフレッドはクリスマスを救い、“家族”という素晴らしい贈り物を再び見つける事ができるのか? (Amazon内容紹介より)

 

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まず、映像がすごくキレイ(☆。☆)!

サンタの街のイルミネーションも、ソリで飛び回っている時の夜景も素晴らしい!

 

ファンタジーなんだけど、フレッドが言う皮肉や兄弟確執とかは、リアルな感じでいい。

 

特に印象的だったのは「兄弟との葛藤を乗り越える会」のシーン。
シルベスター・スタローンの弟、アレック・ボールドウィンの弟、クリントン元大統領の弟まで、本物の有名人兄弟が登場し、有名な兄弟を持った苦しみを切々と訴えるのです。
だけど弟ばっかりなんですよね。優秀な有名人弟or妹を持つ兄・姉っていうのはいなかったんでしょうか??

 

アメリカの映画やドラマでは、登場人物が「○○を乗り越える会」みたいな自助会に参加したり、個人セラピーを受けているシーンはすごくよくあって、それだけ自助会やワークショップ、セラピーがありふれている社会ってうらやましいなぁと思っていました。
どれくらいありふれているかというと、私の印象では「歯石をとってもらいに歯医者に行く」ぐらいの感覚でしょうか。誰もが行くわけじゃないし、行かない人の方が多いかもだけど、別にうわさになるほど珍しいことではない、という感じ。

 

カウンセリングやセラピーも保険適用になるといい。
心療内科など、保険がきくところって、基本的に投薬治療ですよね。
過去のトラウマだとか、自分が抱えている問題の原因を何となくでも自覚している人は、薬物治療が対症療法に過ぎず根本原因の解決にはならないように思え、敬遠してしまうと思うんですよね。
日本での自殺者、毎年3万人以上。少しは減るんじゃないだろうか。

*

と、ちょっと重苦しいことを書いてしまいましたが、基本的にはファンタジーコメディー。
そしてちょっとほろりともするハートウォーミングストーリーなので、気楽に見ていただければよいと思います☆

 

「ブラザーサンタ」〔DVD〕

 

 

「ブラザーサンタ」〔Blu-ray〕

 
DVDよりもブレーレイの方が安いのは何でか?

 

 

そして、子ども時代のフレッドとニコラスを見ていて思い出した本があります。

『コブタの気持ちもわかってよ』

 

 

残念ながら絶版となっているようですね。

 
小学1年生くらいのコブタが主人公。
一部抜粋してご紹介します。

 

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ケムシをうちへつれてかえったら ママがとてもおこった。
カブトムシをつれてかえってもおこらないのに。
ぼくはケムシもカブトムシもすきなのに。

 

たいせつなおもちゃをこわされてボクはおこった。
「あなたのほうがおにいちゃんなんだから がまんしなさい」ってママはおこった。
おこったきもちはボクのなかにとじこめられる。
ボクはきもちをはきだせない。

 

じぶんのきもちをうまくはなせない。

 

おなかがいたい。

 

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おなかを抱えて転がっているコブタちゃん。
何度読みかえしても泣いてしまう(;;)
絵本だけど大人、特にお父さん、お母さんにおすすめです。

 

小泉 吉宏さんは「ブッタとシッタカブッタ」シリーズでもおなじみの作者さんです。

ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある

 

 

ブッタとシッタカブッタ〈3〉なぁんでもないよ

 

仏教的なものの見方がベースになっているようで、示唆的だけどまったく難しくはなく、イラストもかわいくておすすめです。

10.12.16

クリスマスと日本人

毎年クリスマスシーズンになると、必ず聞こえてくるのがこんな声。
キリスト教徒でもない日本人が、こんなに大騒ぎをするのはなぜ?
これまで明快な答えは出せずにいたのですが、最近になって、日本人の多くは無宗教ではなく、むしろ多神教なのでは、と思うに至りました。

 

きっかけは、日本旅行の思い出を綴った外国人たちのブログ。
「日本人はみんな順番を守る。自主的に列を作る!」とか「公共の場所で騒がない」、「公衆トイレもきれいに使う」など、私たちがあまりにも当たり前だと思っていることに感動してくれていて、そのことにとても驚いた。

 

日本人の行儀のよさはどこからくるのか。
頭に浮かんだのは、今や失われつつあるこの言葉
バチがあたる
子どもの頃、この言葉にさんざん脅されたような気がします。

人が見ていようがいまいが、
「悪いことをしたらバチがあたる」、「物を粗末にしたらバチがあたる」
これはキリスト教などでいう「神はいつもご覧になっている」みたいな戒めに近いかと思います。

 

そもそも日本には「八百万の神」という言葉があるように、山には山の、川には川の、岩や木、かまどやお箸、米の一粒一粒にまで、ありとあらゆる神様がいた。
そこから自然に対する畏敬の念や、物に感謝し大切に使う「もったいない精神」なども自ずと培われてきた。
「お天道様に顔向けできない」などといいますが、何でもお見通しの太陽を敬う→いつ誰に見られても構わないふるまいをする→恥の文化にもつながっているように思います。

 

クリスマスに浮かれ、お寺の除夜の鐘を聞き、お正月には神社へ参り、お彼岸・お盆にはお墓参りをする。
そんな生活に疑問を感じないのは、仏陀もキリストも、八百万の神の一人ぐらいに思っているからではないだろうか。

 

『「日本の神様」がよくわかる本 八百万神の起源・性格からご利益までを完全ガイド』

 

『知っておきたい日本の神話』 

 

日本の神話  親から子へ語り継ぎたい

 

 

宗教というものをあえて意識させないほど、様々なことが日常生活に浸透している。
今年「トイレの神様」という歌が話題になりましたが、それ以前にも「トイレ掃除で会社が変わる!」みたいな自己啓発的ビジネス書がブームになったことがあります。それも「トイレの神様(弁天様?)」効果ってことですよね?

 

「トイレの神様」

 

 

『掃除道  会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる』

 

 

 

『ツキを呼ぶ「トイレ掃除」』

 

 

あらゆる神様を肯定し、神社でもお寺でも教会でも、神聖な場所に行けば自然と頭をたれる。それが日本人のメンタリティ。
だから多くの日本人には、排他的一神教の、いわゆる「原理主義」というものが理解できない。
世界中の争いの多くが宗教を発端としていたり、今でも政治利用されていることなどを思うと、節操が無いといわれようが、多神教、結構なことではないかと思う。
胸をはってクリスマスに浮かれればいいと思う。

 

 

そして年末になると思い出すのが「まんが日本昔ばなし」の「貧乏神と福の神」のお話。
「貧乏」すら神としてあがめ祭ってしまう、このふところの深さ!どうよ?!

『決定版 まんが日本昔ばなし101 』


 

 

「まんが日本昔ばなし」DVD

子どもの頃、大好きでした。
今の子どもたちにも見せてあげたい。
悪いことをすればバチがあたるとか、弱者をいたわるとか、働き者・正直者は報われるとか、理論的に説明するのが難しい道徳的なことを伝えるのに、すごく良い教材だと思います。
再放送希望。いや、一生放送し続けてほしい。