こわれた白,ナティエのブルー
DICのカラーガイドって知っていますか?
デザイン事務所や、印刷会社には必ずあるもので、印刷するときの色を指定するためのものです。
普通のカラー印刷はシアン(青)マゼンタ(赤)イエロー(黄色)の3原色と墨(黒)の掛け合わせで表現しますが、カラーガイドを使う場合というのは、ズバリその色(水色なら水色)。で刷る場合です。絵の具で絵を描くときのようにインクを混ぜて色をつくって、その色で印刷するのです。
でも色って口では説明できないですよね。一口に「青」って言ったって、「白っぽい青」もあれば、すこし黄色ががって「緑に近い青」もある。そんなときに使うのが、カラーガイドです。ミシン目で千切れるようになっているので、そのチップを付けて印刷に回すわけです。
沢山あるカラーガイドのなかで、僕が一番好きなのが「フランスの伝統色」ですね。
色相的にはかなり偏っているのですが、その色の偏りに国民性を感じたりしますね。「フランスの伝統色」では微妙な茶系の色が多いかな?あとワイン系の色とかもやはり多いし。意外なところでは黄色がやたら沢山あります。
「フランスの伝統色」は色が綺麗なのはもちろんですが、各々の色に付いている色名と解説がまたいいのです。
例えばF27はブラン・カーセという名前ですが、「こわれた白」と訳されています。まるで詩みたいです。
解説には“つまり艶のない白のこと。こわれた白は多く微細な色の混じることで,艶のない白をいう。”とあります。これを読むと使ってみたくなりませんか?
F48はブルー・ナティエ「ナティエのブルー」で“有名な肖像画家で,パリに生まれ1685年~1766年まで活躍した。素晴らしい色を出すので有名であるが,特にそのブルーは名高い。”とあります。
そのほかにも「泡の色」「消えかかる火の色」「焦げたパンの色」などなど…ついつい選んでしまいますね。
まあ印刷物に色名が付くわけではないので自己満足に近いのですが…でもそういう引っかかりって大切な気がします。