▼‘本’ カテゴリーのアーカイブ

09.05.27

囚人版ツール・ド・フランス開催?

囚人版ツール・ド・フランスとは、フランスの受刑者が、自転車に乗り、リールからパリまでの2300kmの走破をめざす(結構キツイ)もので、順位は付けず、チームワークや努力をする価値観を育むのが狙いとか。
途中、刑務所のある17の町を巡る(ちょっと笑)らしいです。
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これを聞いて思い出したのが、アラン=シリトーの書いた、「長距離走者の孤独」です。

もう読んだのはずいぶん前のことになるので、うろ覚えなのですが、たしか感化院に入っている主人公の青年がマラソン大会に出場する話だったと思います。
感化院側の狙いは、おそらく囚人版ツール・ド・フランスと同じようなもの(チームワークは関係ないですが)だと思いますが、この「長距離走者の孤独」の主人公は感化院側の思惑などくそくらえで、ただ自分が走りたいから走っている感じでしたね。もっと哲学的なものを求めているような・・・。
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同じくシリトーの書いた「土曜の夜と日曜の朝」という作品も当時好きでしたね。タイトルもカッコイイし。
シリトーという作家は、それまで持っていた、僕のイギリスに対するイメージを変えてくれました。貴族的で取り澄ました感じだったものが、もっと肉体的で荒々しいところもあるのだと・・・。
もっともこれは僕だけの感想ではなく、シリトーは1950年代にイギリスに登場した「怒れる若者達」というムーブメントの代表格でもあり、当時のイギリス文学界に衝撃を与えたのです。
「怒れる若者達」にはコリン=ウィルソンなども含まれています。彼についてはまたいずれ、このブログでも取り上げていこうと思います。「アウトサイダー」とかいずれ詳しく。
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そして「怒れる若者達」というと、なぜかJ.Dサリンジャーのことも浮かんできますね。もっともサリンジャーはアメリカ人ですから、関係ないのですが、「ライ麦畑でつかまえて」のホールデンもまた「なにか」に怒っている若者の代表格ですから。
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僕も、昔は怒っていたのです。「なにか」に・・・
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でも今では僕の子どもたちが怒っているようです。
「おまえら!いったいなにを怒ってるんだ?」

09.05.25

目をそらさないということ


「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」やっと先日読み終わりました。
著者のランス・アームストロングは、一度自転車レースから引退したのですが、また復帰して今もジロ・デ・イタリアを走っています。
ジロ・デ・イタリアとはイタリア語で「イタリア一周」という意味で、文字通りイタリアを一周する自転車レースです。ちなみにツール・ド・フランスとはフランス語で「フランス一周」という意味であり、もう一つブエルタ・ア・エスパーニャというスペイン一周のレースがあり、その3つのレースをグランツールと呼びます。
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今年のジロでのランスの優勝はもうないと思います。それにしても1971年生まれですから、今年もう38歳!すごい精神力と体力です。
ジロ・デ・イタリアは全21ステージで行われ、全走行距離3455.6km!2000m級の山を越えていく、恐ろしく過酷なレースです。そんなレースになおも挑戦していくランス。そして彼は癌に対しても果敢に立ち向かっていったのです。
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普通「癌」などと言うと、告知することすらためらいます。自分が癌だとわかってしまったら、絶望してしまうか、とにかく医者に任せてなんとか命を助けて欲しいと願うか、とにかく病気から逃げようとするでしょう。しかしランスは「癌」という病気に正面から向き合い、戦おうとします。自分で病気について徹底的に調べ、専門家なみの知識を身につけていきます。医師についても一人の先生におまかせではなく、数人の専門家から話を聞き、その中から自分で選んでいく。
とにかく現実をしっかり見つめ、そのなかで、自分が勝てる(生き残る)ように判断し行動していく。
これほどの状況ではなくとも、参考になる態度だと思います。
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自分に都合の悪いことから目をそらさない!
たとえそれが脇腹についた贅肉だとしても!!

09.05.18

ろうがんず?

俳優の石坂浩二さんが「ろうがんず」というプラモ同好会を結成したらしいですね。
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僕も子どものころ、ご多分に漏れずプラモにはまっていました。
基本的にAFV派で、戦車ばっかり作ってました。たまに飛行機とか車にも浮気してましたけど・・・。
当時から、とにかく凝り性なくせに、イマイチ根気がないもので完成しないんですよね。
手すりを金属で作り変えたり、キャタピラを弛ませたり、汚し塗装をしたり・・・色々するんですが、途中で失敗してやめちゃったり、そもそも買っただけで満足してしまって、まったく作らなかったり・・・今でも多分、屋根裏の倉庫には、そんなプラモたちが眠っているはずです。
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それからずっとご無沙汰してたのですが、なんか最近またちょっと作りたくなってたんですよ。
物理的に不可能なんですが、でも作りたいなーって・・・。
そんなときに、石坂浩二さんの記事をみて、刺激されましたね。創作意欲が。
今ならもっとうまく作れるような気がするんです。
最近のプラモは昔よりはるかに出来がよくて、もともと金属パーツが使われていたり、汚し用のツールが何種類もあったり(↓こんなの)

かなり進歩してるんですよね。
僕自身も「オトナ」になっていますから、知恵もついているはずだし・・・絶対うまく作れるはず!
マクロレンズもあるから、写真を撮ったりも出来るし。
あー作りたいなー。
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あの当時、僕はタミヤ派で、ほとんどタミヤのものばかり買ってました。
パッケージがカッコイイんですよね。あの白バックが新鮮だったんです。

この本の感じですよね。
他のモデルメーカーのパッケージが背景まで描き込んでいるのに対して、白バックにリアルなイラストを配置している。
グラフィックとしても優れていたと思います。
タミヤが定期的に発行していたタミヤニュースも買っていましたが、これもカッコよかった。
版型も縦長で、表紙もマークを大きくグラフィック的に扱っていて、今見てもイイと思いますね。

この右上の方に小さく載っているのが、タミヤニュースです。
うんカッコイイ。
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僕も老眼になったら入れてもらえないかな?
ろうがんず

09.05.07

ゴールデンウィークに読んだ本1冊と少し

ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまいましたねー
って、おそらく日本中で言っているでしょうね。
というか、もう2009年もそろそろ半分近くが過ぎようとしている!!
家の子どもたちは、「早く夏休みがこないかなー」とか言っていますが、とんでもない!
そんなに早く時間がたってもらったら困るのです。
最近の僕は、1週間が2,3日にしか感じないのですから。
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そんなわけで、ゴールデンウィーク中はほとんどなんにもできませんでした。
映画も観れなかったし、本も読んだのは1冊と少し。
その「少し」読んだのが、この本『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』

この本、まず装丁がカッコいいです。
装丁は、おそらく一番有名な装丁家?鈴木成一さん。
この装丁も、そんなに凝ったものではないのだが、つい手にとってしまう。
絶妙な文字の選択、レイアウト。そしてイラストのあしらい方。
あーこうありたいものです。
イラストも僕の好きなイラストレーターの一人、井筒啓之さん。
この人の絵は透明感はあまりない感じで、白場とか色ベタに置くと、もっともフォルムと色が映えます。
この本では当然黄色のベタです。
黄色はフランス語でジョーヌ。ちなみにマイヨはジャージのこと。
つまり、マイヨ・ジョーヌとは黄色いジャージってことですね。
ツール・ド・フランスという自転車レースで総合トップの選手のみが着る事のできる。名誉あるジャージです。
このジャージを着てシャンゼリゼに凱旋したものがツールの総合優勝者となります。
厳密にいうと最終日で逆転してマイヨジョーヌを奪うことも可能なのですが、そんなことはほとんどなく、最終日は凱旋パレード的な日なので…。
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僕も昔、自転車に凝っていて、ロードレーサーも持っています。ツールの放送をみて憧れて、週末になると30~40kmは乗ってましたね。
鳥取-岡山というレースに出たり、当時の英田サーキットでの3時間耐久レースなど、色々出場してました。
テニスと違って、あんまり勝ち負けがはっきりしないので、精神的には楽でした。
1位以外はあんまり関係ないやって感じで…。
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その当時ツールではミゲール・インデュラインが絶対的な王者で、この本の作者ランス・アームストロングはまだこれからの選手でしたね。
僕がそのころ一番好きだったのは、マルコ・パンターニというイタリアの選手でした。
彼は天才的なクライマーで、後にツールを制しますが、若くして亡くなっています。
山岳に強く、彼の上りでのアタックは、非常に強烈な印象を残しています。躍動感にあふれるダンシングで飛ぶように坂を上っていったものです。
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でも、この本のテーマは自転車ではないんですねー。
アームストロングは自転車選手として、これからというときに癌に侵されます。その癌を克服して、ツールを7年連続で制するのです。
この癌との闘い、そして回りの人の支えがこの本のテーマらしいです。
らしいっていうのは、まだ少ししか読んでないもので・・・・。
読み終わったらその辺について、また書きますね。
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そして、もう一冊読んだ本というのが・・・
これまた次回にします。
読みかけの本を先に紹介して、読んでしまった本をなぜ後回しにするのかって?
実はこの本、まだうまく咀嚼できてないんです。
もう少し解かったら紹介したいと思います。

09.04.28

『ウイニング・アグリー』を読めばテニスが強くなる?


この本は数あるテニス本の中でも、名著といってもいい本の一つだと思います。
若い人は、この人の現役時代は知らないでしょうね。
いまの人はアガシの元コーチといえばわかるでしょうか?そう、あのブラッド・ギルバートの書いた本です。
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僕ぐらいの世代に、ギルバートは結構印象に残っているのです。あまり華はないのですが、海賊のような風貌で、特にジャパンオープンなどでよく活躍してましたからね。
ビックショットはないのですが、オールラウンドプレイヤーで、なんとなく勝っているイメージでしたね。
トップスピンやスライスを織り交ぜて、ストロークで左右に振り、チャンスをみては、ネットに出てボレーでしとめる。といったテクニシャンタイプです。
プレイスタイル的には結構好みだったりします。
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ブラッドの試合で一番印象的だったのが、出始めのピート・サンプラスと戦ったグランドスラムカップ決勝でしょうか。
日の出の勢いのサンプラスに粉砕されてしまったのですが、でもなんだかんだで決勝にはいっていますから…
あのときのサンプラスは怖いものしらずで、めちゃくちゃハードヒットして、しかもそれがほとんど入っていましたから、策士のギルバートでもどうすることも出来ませんでした。
でもギルバートは大物食いとして有名で、マッケンローやベッカー、コナーズなど錚々たるプレイヤーを破っています。
なぜたいした武器のないギルバートがマッケンローやベッカーに勝てるのか?
それがこの本には書いてあるのです。
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他のテニスの本のように、グリップがどうとか、テイクバックはこうしなさい。といったような技術的なアドバイスは全然ありません。
書いてあるのは、戦略、準備、考え方などです。
しかしテニスはそれが重要なのです。
一例をあげると、「大蛇のようにプレーしろ」とギルバートは言います。
どういうことかというと、蛇は獲物を一気に絞め殺しはしないそうなのです。相手に巻きつき、獲物が息を吐くたびに、少しずつ締め付けていきます。
テニスも同じで、一発のエースで決めようとせずに、じわじわと相手を追い込んでいきなさいと。
少しずつ相手の余裕を奪っていけば、相手がミスってくれたり、最後に自分のショットがエースになったりするのです。
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この本にはトッププロの例が沢山でてきますが、一般のプレーヤーに置き換えてもくれてますので、かなり役に立つ本だと思います。
スクールで練習するのもいいのですが、この本を読むだけで、スクール何回分もの効果があると思います。
かなりおすすめです。

09.04.21

ミステリーの新しいカタチ

4月といえばTV番組の大改編期ですが、新番組「探偵Xからの挑戦状!」で、NHKが新しい試みを始めています。
ケータイ小説とテレビ番組を連動させた「ケータイコラボミステリー」企画。

 

まずはNHK携帯電話サイトで「問題編」となるケータイ小説を6日間分割で配信。

その後「解答編」はテレビ番組で、30分のドラマ形式で見せるという流れ。
謎を解く手がかりはすべてケータイ小説の中で示されており、犯人当てクイズに投票することもできます。

 

番組は4月2日午前0時10分スタート(毎週水曜日深夜放送)だったのですが、どんなものかと初回のみ参加してみました。
時間が無かったのでケータイ小説はざざざっと流し読み。推理する間も無くテレビ番組スタート。

これって携帯を持っていない人とか、事情を知らずテレビのみ見た人には意味不明な番組になるのかなぁと思っていたのですが・・・、結論から言うと「大丈夫」だと思います。
テレビでもケータイ小説に書いてあったことのおさらい的な説明がされていました。(と思います。既にうろ覚え・・・。)
番組放送後は、ケータイでも解答編を読むことができます。

 

ただ「問題編」を読むことができるのは携帯のみでPCは不可なんですよねぇ。

TV離れが進んでいるといわれるケータイ世代の若者を取り込みたいということなんでしょうが、ケータイよりPC世代(?)な私はちと不満。

どうなんだろう?電車とかバス通勤の人なら通勤時の暇つぶしにいいのかなぁ? 

詳しくは「探偵Xからの挑戦状!」サイトをご覧ください。(直リンク不可なので“探偵Xからの挑戦状!”で検索してみてね!)

 

 

ネットは既存メディアを駆逐するか?
数年前からしきりに論じられていることですが、「本」という媒体に限っていえば、個人的には本が無くなることはないと思っています。(それはなぜかと聞かれたら、長くなるのでまたの機会に!)

 

そしてクロスメディアミステリー。
実は弊社でも2年前にやっておりました。y(^―^)y

本の中では犯人を明かしません。
  「犯人は誰?」
  「答えはWEBで」

本に書かれている専用サイトにアクセス(PCでも携帯でもOKです♪)していただき、ストーリーに関連したいくつかのクイズをクリアすると解答編をご覧いただけます。

また「ネットとかやりません」、「やっぱり答えも紙で読みたい」という方のために、ご希望であれば解答編の郵送対応もいたしております。

 

『ノー・ソリューション -解決編のない推理小説-』
以下の3編を収録。
「消滅した夜 ―記憶に残る福井の謎―」
初級編:舞台は福井県。敦賀から北海道へ向かうフェリーの中、殺されたのは資産家老人。容疑者と目された後継者候補の孫たち。
    失われた記憶、それは“私が殺人を犯した”記憶だったのか?
「オルフェウスのダンジョン」
中級編:舞台は大阪市。被害者は「地下街シリーズ」で人気の推理作家。次作となるはずの大阪地下街殺人事件が本物に。手がかりはボイスレコーダー?
    地下は地上の合わせ鏡や。ナニワ6地下街を捜索せよ!
「うつし夜は悪夢」
上級編:舞台は三重県名張市。ミステリー愛好会のオフ会で、第一の事件は起こった。なぜだか懐かしいその町並み。デジャヴュ。。。ドッペルゲンガー。。。
     乱歩生誕の地で起きた幻想、それは「うつし世の夢」。

09.04.21

変わる国立大学病院

今朝の「めざましテレビ」(フジ)で、「変化する国立大学病院」として、いくつかの大学病院で行われている様々な取り組みが紹介されていました。

 
とかく「待たされる」というイメージの強い大学病院ですが、受付・支払いをコンピュータ化し、薬を院外処方にするというシステムで人の流れをスムーズにしていたり、待ち時間が気にならないようカフェを併設している、などといったことです。

そういえば岡山大学病院にもスタバが入っていました。

 

国立大学病院も独立行政法人となり、サービスやマネジメント力というものがより求められる時代となっているのです。

 

そして東京大学病院や東北大学病院などと共に紹介されていたのが徳島大学病院。
番組で取り上げられていたのは、シミやイボなどの美容的な悩みに対応する美容センターがある(保険適用外で自費診療)ということ。また、エステティシャンもいて術後のケア・相談に応じているということでした。

 

そしてここからは番組内にはなかったことですが、徳島大学病院は医療・看護サービスの質向上のための具体的手段として、国内大学病院としては初めてISO9001の認証を取得した病院でもあります。

現在はそれに加えPマーク、病院機能評価も取得しており、それは患者さんだけでなく、スタッフの満足度向上にもつながっているそうです。

 

そして看護部で取り組まれてきた実践記録、弊社より刊行しております。

『ISO9001が看護を変える』

09.04.13

リスベート・ツヴェルガーって知ってます?

この人あまりメジャーではないですかね?
僕は20年前ぐらいに「おやゆびひめ」の挿絵でみて気になっていたのですが、最近まで忘れていました。
思い出すきっかけになったのがこの本です。

そう不思議の国のアリスです。
この人の絵、好きですね。どちらかというと暗い感じの絵が多いのですが、色調が美しいです。冷たい感じの色使いですが、非常に綺麗な差し色が使われていて品があります。線も綺麗だし…
画集も出てるみたいなので、買っちゃおうかな。

こういう絵をみると、絵が描きたくなります。
でも大人になると、なかなか絵を描くってことがなくなりますね。子どものころは特に意味もなく絵を描いていたんですが(授業中とかに)。
最近では、子どもにせがまれて、ペンギンのベッカム?を描いたり、よくわからないドラゴン?を描いたりするぐらいで…
絵を描くぐらいの精神的ゆとりと時間的ゆとりが欲しいなーと思いながら今日もバタバタと一日が過ぎていくのです。

これも綺麗だなー

09.04.06

道具に拘る Vol.5

やっと今のカメラにたどり着きました。
Nikon D40です。

これもまたもう生産中止してしまいました。
デジタルカメラは技術的進歩が早く、生産される期間も短いので、フィルムカメラと直接比べるのは難しいのですが、D40はニコンのカメラの中でも、傑作の一つに入れて良いのではないでしょうか?
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このカメラはニコンのデジタル一眼の中では一番安いカメラでした。でも「安かろう悪かろう」のカメラではなく、割り切るところは割り切り、譲れないところはしっかり造ってあります。
割り切ったところは、例えばAFを駆動するモーターです。ニコンはそれまで、ボディにもモーターをつけていたのですが、D40ではそれをやめて、レンズ内モーターのみにしたのです。そのおかげで、ボディは軽くなり、値段は安くなりましたが、多くのレンズがAF出来なくなってしまいました。発売当初はそこを問題視する意見も多かったのですが、しばらくすると、レンズメーカーもレンズ内モーターをもったレンズを作り出したため、さしたる欠点にはならなかったのです。それよりも小型軽量のメリットの方が大きく、ニコンの「割り切り」が成功したのです。
もう一つの割り切りは、画素数でしょうか。コンパクトカメラでも1000万画素を越えている時代に、D40は600万画素しかありません。
これも勇気がいる割り切りだと思います。一般に画素数が多いほど良いと思われていますから。しかし実際にはA3ぐらいまでなら600万画素もあれば充分なのです。普通の人はL版か、せいぜいハガキサイズがほとんどですので、まったく問題はありません。
逆に画素が少ないことには、メリットもあります。データ量が少なくなるため、保存するにしても、加工するにしても、取扱が楽になりますし、ノイズが出にくくなるために、暗い情況にも強くなります。
実際D40で撮った写真は充分なクオリティを持っていました。
そういったことで、D40はカメラ初心者にもまたベテランのサブカメラとしても愛されているのです。
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僕もまだまだメインのデジタル一眼として使っていきたいと思っています。
この先もし買い換えるとしたら、フルサイズの撮像素子で10万円を切ったコンパクトなモデルが出たときでしょうね。
前にも言いましたが、コンパクトで高性能とかに弱いので…。

09.03.30

道具に拘る Vol.4

えーっと、たしかGR-1まで話が進んでいましたね。
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そう、ほとんどGR-1を買いかけたのですが、当時まじめに写真に取り組もうと思っていたものですから、やはり1眼レフかな?っと思い直し、写真学生御用達と言われていた、NikonのFM3aを買うことにしたのです。
このカメラも今では生産されていません。
FM3aは、いわゆるマニュアルカメラで、フィルムを巻くのもレバーです。
絞りを変えたり、シャッタースピードを変えたりするのも、全てダイヤルと、直感的です。
液晶等もなく、電気を使うところがほとんどありません。露出計を動かすのと、シャッターが、電子制御式と機械制御式のハイブリットになっているので、そこに電池が要りますが、仮に電池がなくてもマニュアルで露出を決めれば、写真を撮ることが出来ます。
これは、今のカメラには出来ないことですね。
時計にもクオーツに対して機械式があるように、機械としての魅力がこのFM3aにはあると思います。
そうそう若い人にもこういうカメラの方が人気があるんですよ。デジタルよりむしろ新鮮なんでしょうね。
僕もこのカメラを買った頃は、デジタルに対して懐疑的で、フィルムのほうが味があって面白いし、綺麗に取れると思っていました。
フィルムが映画なら、デジタルはテレビくらいの感じで、フィルムのほうが本物って感じがしてましたね。
まあ今では、どちらも使いますし、どちらもそれぞれ良いところがあると思っています。
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FM3aではリバーサルフィルムを主に使っていました。
ネガフィルムとは違って、プリントしなくてもそのまま鑑賞することが出来ます。
デジタルが一般的にになる前、プロはリバーサルで撮るのが当たり前でした。それが一番綺麗に印刷が出来たからですが、今では、速報性を必要とされるものは全てデジタル入稿となり、作家性が必要とされるものもネガフィルムでとってプリント入稿ということも増えています。

例えばこの佐内正史さんとかも、フィルム(35mmより大きな6×7ですが)で撮って、プリント入稿していると思います。
まあ僕がリバーサルで撮っていたのは、そのほうがネガより難しくてプロっぽいということと、プリントしなくても、現像さえすれば見られるのでお金があまりかからないという理由でしたが…。
でもリバーサルをライトボックスの上に置いてルーペで覗くと、本当に綺麗ですよ。すごいリアリティがあるのです。あの小さなフィルムの中に世界が凝縮されるというか、そこに「在る」という感じです。
この感じはデジタルでは得がたいものであると思いますね。
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さあ次にやっと今のカメラにたどり着きましたよ。
ではまた来週。