▼2009 年 7 月 28 日 のアーカイブ

09.07.28

高齢者は働くことしか才能がない?

「高齢者は働くことしか才能がない」
 
麻生首相発言がまたえらく非難されてましたねぇ。
前後の文脈とかも分かりませんし、一部分だけで判断するのはどうかと思いますが、でも、そんなにダメなこと言ったかなぁ?というのが私の正直な感想です。
60代・70代、80代でも実際元気な人はいっぱいいるし、できれば働きたい、社会とつながりたいと思っている人だって多いと思う。やる気も能力もあるのに、それを活かせる場が無い、というのはすごくもったいないことだと思うし、麻生首相発言の意図は「働きたい高齢者にはもっと働いてもらえるような制度・枠組みを整備する必要があるし、企業にも積極的に取り組んでほしい」ということなんじゃないの?と思いました。
確かに言葉の選び方は上手くなかったでしょう。だけど別に「おまいら全員、死ぬまで働け!」なんて言ってるわけではないと思うんですが。どうなんでしょう?

 

それにそもそも「勤労」って尊いものなんじゃないんでしょうか?
「労働」=「搾取」というわけではなく、生き甲斐につながることも多いと思うんですが。
戦中・戦後の混乱期から高度経済成長期へ、今の日本の礎を築いてくれた高齢者世代は、趣味なんて楽しむ余裕も無く、家族のため、社会のために、ただがむしゃらに働いてきたという人も多いと思います。

 
「働くしか能がない」上等!
 

それは誇りにしていいと思うし、高齢者自身もそういう自負がある人は多いと思います。

 

そして思い出したのがこの本です。
『そうだ、葉っぱを売ろう!  -過疎の町、どん底からの再生-』

 
徳島県の過疎の町、上勝町を激変させた葉っぱビジネス「彩(いろどり)」。
これまでTVや雑誌などに何度も取り上げられている有名な取り組みですので、ご存知の方も多いと思います。

 

過疎が進み、これといった産業もない田舎町。
暇なので男性は朝っぱらから酒を飲み、女性は日がな一日他人の悪口を言って過ごしているという状態。
私もかなりの田舎町出身なので、過疎の町にありがちなこういった状況って、すごくよく分かります。

 

そしてこの本を読んで思ったのは、人間いくつになっても、忙しいくらいの方が幸せなんじゃないだろうか、ということ。

 

することがなくて、毎日のように診療所やデイサービスに行っていたお年寄り達が、今では「忙しいて、病気になるひまがないんよ」と毎日笑顔で働いている。

 

パソコンで毎日市況を調べ、出荷する商品を調整する。
売上と順位が日々更新されることが良い刺激となりやる気につながった。

 

年収1,000万を超える農家も出てきた。
家を改築し、息子や孫夫婦を呼び戻すこともできる。
新築の家が建ち、Uターン・Iターンで移住してくる人も増えてきた。

 

「自分で稼いで、自分で使えるこのうれしさっていうのは言葉にできん」
「自分の子や孫に、自分のお金として使える喜びは、男の人には分からん」

自分で立ち、自分で稼ぐことの感動。
いくつになっても現役で、自分が人生の主役になっている。
この喜びというのは本当に尊いものだと思う。
高齢者、特にこれまで表舞台に立つことがなかった女性を主役にしたことで「彩」は成功し、町の活性化につながっていった。

 

今や人口の2倍もの視察者が訪れるという上勝町。
だが同じ葉っぱビジネスで成功したところは未だないという。
上勝町の成功は横石さんの力によるところが非常に大きかったからだろう。
最初は誰にも相手にされなかった彩ビジネス。
根気よく説得を続け、徐々に信頼関係を作っていった。
どういう葉っぱが売れるのか?給料を1円も家に入れず、自腹で料亭に通い続けた。
なかなかできることではない。
おばあちゃん達をやる気にさせる仕組み作り。これも試行錯誤の繰り返しだ。

 

簡単ではない。
だけど不可能なわけでもない。

 

本書の中で横石さんは言う。

 

「福祉」は、みんなが幸せになることであって、「してあげる」ことでもなければ「いたわる」ことでもない。
「そんな年寄りまで働かせて」ということではなく、お年寄りだからできる仕事を生み出し、稼ぐことで人も町も元気になれば、それこそが「福祉」になっていると思う。
箱物の充実だけでなく、一人ひとりに自分が必要とされている「居場所づくり」を、地域全体で考え出していくことが、本当の福祉ではないだろうか。

 

少子高齢化社会における見事な解決策の一つがここにある。

 

マンガもありました。

『葉っぱがお金に化ける?!』

絵は、岡山の中国デザイン専門学校の生徒さんが描いたものらしいです。

 

また、お年寄りの力というのは、子育て支援にも活かせると思います。
保育園じゃなくても、人生経験豊富なおばあちゃんベビーシッターに待機児童を預かってもらうというのはダメなんでしょうか?
映画や小説にもよくありますが、子どもと老人の組み合わせって好きなんですよね。
子どもの情操教育的にもいい影響があるんじゃないかと思います。

こちらもオススメ。
『世代間交流 -家庭教育の一環として-』

核家族化が進み、孤独な一人暮らしを強いられている高齢者がいる。
一方で、近くに頼れる人がなく、子育ての悩みや不安を一人で抱え込んでいる母親もいる。
世代間交流先進国であるアメリカでの取り組み、現状を検討しながら、日本におけるこれからの世代間交流のあり方を提起する。

 

以前、ネット掲示板で「リアル8○歳だけど質問ある?」(正確に何歳だったかは不明)というスレッドを見たことがありますが、何か意外に良スレになってたような気がするんですよね。
「どうせ釣りだろ?」と最初は皆疑ってかかっていたのに、最後には「じいちゃ~ん、待ってたよ~」「今日は何してたの~?」とか本当におじいちゃんと孫達、みたいなすごく和む掲示板になってたんですよね。

 

パソコン、というかネットも、高齢者こそ利用すればいいと思うんですよね。
注意しないといけないことはもちろんありますが、うまく使えば、老若男女問わず新しい仲間ができて、生活にもハリが出てくると思います。

 

シニアが作ったシニアのためのパソコンテキストあります。
『ぴんコロICTテキスト―高齢社会をよりよくするための挑戦』

09.07.28

岡山の林原グループが「カンブリア宮殿」に!

昨夜の「カンブリア宮殿」は、岡山が誇るユニーク(オンリーワン)企業「林原グループ」がとりあげられていました。

 

林原といえば駐車場、そして林原美術館というのが一般的な岡山市民が抱くイメージです。
トレハロース以外で、他にどういう研究をされているかとか、地元とはいえ、実はよく知らなかったんですよねぇ。ということで昨日はバッチリ録画し、興味津々で見ておりました。
家のハードディスクは真っ新な状態となりましたが、新たな人生をまた二人?で歩き始めました)

 

若干19歳で突然の社長就任!ということも知りませんでした。

色々なご苦労もあったと思いますが、今や世界が注目するバイオ企業なんですからすごいですよね。 

 

同族企業というのは問題視されることも多いですが、非上場+同族経営だからこそ、目先の利益に直結しない基礎研究を続けることができる、という言葉には「なるほど~」と思いました。

 

そういえば以前働いていた会社で、女子社員全員に林原さんより、化粧品の新製品セットが支給されたことがありました。
たぶんトレハロースが入っていたと思います。
しかもよくあるミニミニサイズの試供品ではなく、2~3週間はたっぷり使えそうなサイズで、洗顔から化粧水、乳液的なものなど基礎化粧品一式が入ったセットだったと思います。
正社員だけでなく派遣社員まで女性勤務者全員に配られたのですが(当時の私はハケンさん)、相当数いたと思います。
「林原さんって、何て太っ腹な会社なんでしょう!」と思った記憶があります。
その節はありがとうございました。

 

『独創を貫く経営 私の履歴書』

 

残念ながら「品切れ」となっているようですね。

 

『創造のちから―「不思議な企業」林原の発想』

 

『日本でいちばん大切にしたい会社』

 
同書掲載の日本理化学工業株式会社、中村ブレイス株式会社は「カンブリア宮殿」でも取り上げられていました。