近作紹介ほか
今週もまた出張の続いた週になりました。
神戸や鳥取に,連日の好天に恵まれて秋色を愛でながら走ること1000キロ。
付き合い始めてずいぶん経つ鈍い腰の痛みを呼び覚ますにはもってこいの日程でした。
さて,今日はまじめに当社の新刊についてご紹介します。題名は,
『語りかける看護場面−看護るもののまなざしを考える−』
といい,去る10月下旬に発行いたしました。
執筆しているのは,島根県出雲市の島根県立大学短期大学部の看護の先生と,その先生が主催する研究会のメンバーの皆さんです。
メンバーの中心は医療機関などに勤める現職看護師の皆さんです。
それぞれが毎月一度,日々の看護・介護の現場から事例を持ち寄り,互いに考え意見を交わすことで,より質の高い看護へと結び付けていくことを目的に研究会を開いています(患者さん個人に関することの守秘は厳守した上で)。
その中から,ひとり一題ずつ,提出した事例について研究会での議論やそれがどう役立ったかを交えてつづっています。
認知症・精神科・終末期などそれぞれのシチュエーションごとに,プロとしてどういうスタンスで接し,コミュニケーションを交わすか,真剣に議論された跡,試行錯誤や葛藤の跡が包み隠さず紹介されています。
看護という職業の「重さ」のようなものを感じずにおけません。
同じ看護の世界にあられる方,また看護の道を志す学生の皆さん,在宅で看護や介護をされている方などに広く読んでいただき,患者さんという一人ひとり異なるひとりの「人」に接することとは…を汲み取ってもらえたらありがたいです。
ご注文はネットショップ,最寄りの書店,または当社にどうぞ。
『語りかける看護場面−看護るもののまなざしを考える−』
A5判,184頁,定価(本体2,000円+税)
ISBN978-4-86186-361-5
以上,当社の近作のご案内です。
こちらはフィクションですが,ファンであり尊敬もしている私と同年代の作家 重松 清氏の短編集『その日の前に』は,不幸にして患者となり,生きながら終末期を過ごさなくてはならなくなった人と,その人に寄り添う家族・友人らの姿がつづられた短編集です。
家族として互いに思いを寄せ合い,ひたむきに生きる主人公らの姿,また,たとえハッピーエンドでなくても,「現実から目をそらさず,前を向いていこう」というメッセージが文章の端々から感じられて,深い感動を与えてくれます。
終末期病棟の看護師についても,紙面は少しですが深い洞察がなされています。
大林宣彦監督の手になる映画も,もうすぐ公開されるんですよね。
岡山県出身でもある重松さんが書く小説は,現代の人間社会,とりわけ家族をめぐるさまざまな問題が取り上げられ,いつ自分の身に降りかからないと限らないリアリティを持っていて,とても読み応えがあります。
舞台が岡山県内に実在する,またはモチーフになっていると思しき町であることがしばしばで,どこをイメージして書いたのか想像するのも,恒例の楽しみとなっています(岡山県人ならでは)。